フィスコニュース

銘柄/投資戦略 2026/09/03 10:32 一覧へ

神戸天然物化学:PBR0.6倍台かつ配当利回り2.6%、半導体材料関連材料も製造受託

*10:32JST 神戸天然物化学:PBR0.6倍台かつ配当利回り2.6%、半導体材料関連材料も製造受託 有機化合物の研究、開発、量産を一気通貫で受託するビジネスモデルを確立している化学品製造受託企業である神戸天然物化学<6568>は、創薬ベンチャーや大手化学・医薬品企業からの受託開発プラットフォームとして不可欠な地位を築いている。足元は中期経営計画2年目にあたるが、ここから大規模な先行投資や技術提携の効果が順次顕在化する見通しであり、中期経営計画に裏付けられた「生産能力向上」と「高付加価値案件の獲得」を両輪とする今後の長期的な成長シナリオと、それに伴う業績、株主還元の動向には注目していきたい。同社株価は、8月7日の2027年3月期第1四半期決算発表以降、1250円近辺でもみ合う展開となっているが、PBR0.6倍台かつ配当利回り2.6%付近で推移しており、これが1倍に是正されるだけでも1,800円付近までのアップサイド余地がある。

直近の業績である2027年3月期第1四半期業績は、売上高2,118百万円(前年同期比25.0%増)、営業利益は51百万円(前期9百万円の赤字)と修正予想通りで着地した。売上高は過去最高を更新、医薬・バイオ分野でほぼ想定通りに推移した一方、機能材料分野は半導体関連材料などの需要拡大を追い風に売上上振れを牽引した。利益面では、将来を見越した戦略的費用(中長期的な継続案件獲得を見据えた費用発生や投入工数増加など)などが影響しており、大きな懸念は乏しい。さらに、1Qの新規受注額は40億円と、医薬領域で足の長い大型案件獲得もあって2023年3月期より4年ぶりに四半期ベースでの過去最高を更新した。これを受け、受注残存リードタイムも過去最長を更新し、1Q末時点の受注残は過去2番目の水準となる83億円となった。ひとえに、前期より注力してきた営業力強化が徐々に成果を出し始めている状況である。

また、3カ月前(2026年4月頃)では「リスクを十分に折り込めなかった」状況に対し、現時点(2026年7月)の安定的な調達状況と価格動向を踏まえ、「2027年3月期通期見通し」を開示した。2027年3月期業績見通しでは、売上高10,000百万円(前期比10%増)、営業利益910百万円(同11.2%減)を見込む。中期経営計画の2年目として「本格加速への助走期間」の位置づけであるが、新棟稼働により売上成長は加速する想定で、減価償却費や人件費等の先行投資負担により、利益は一時的な足踏みの見込みとなっている。機能材料分野で量産ステージの医療関連材料に加え、半導体関連材料など引き合い好調となるほか、バイオ分野でも開発ステージ案件などが引き合い好調。医薬分野も拡大基調にあるものの、他の2分野と比較すると、その成長ペースは緩やかなものにとどまる見込み。

同社は高度な技術力と専門性を背景に、研究から量産ステージまでシームレスに対応できる体制を強みとしており、顧客の細分化・深化する研究開発ニーズを効率的に取り込むプラットフォームとしてのポジションを業界内で確立している。事業は単一セグメントだが「機能材料」「医薬」「バイオ」の3分野に分かれており、機能材料分野では有機・有機無機ハイブリッド材料などの電子・半導体材料や表示材料などの製造受託、医薬分野では医薬品原薬や中間体の受託、バイオ分野では微生物培養技術などを用いた有用物質の製造受託を行っている。足元では積極的な設備増強や人員拡充、アカデミア等との社外連携を推し進めており、長期的なトップラインの成長と高付加価値化に向けた投資を加速させている。

大手メーカーは競争力の源泉となる新製品、新薬の創出に資源を集中し、開発や試作などは設備や製造技術をもつ外部委託先を積極的に活用する傾向にある。同社の顧客は、売上上位10社の割合が65.2%、顧客の売上規模は1兆円以上の企業が41%・1000億円以上の企業が33.3%、取引年数が15年以上の企業が76.6%と盤石な顧客基盤となっている。このような状況下で、1つの案件に対してステージアップさせ収益性を最大化するだけでなく、顧客から複数案件を獲得し、1社あたりの売上規模を拡大させている。

同社の強みは、第一に、研究から開発、量産までを一貫して自社で引き受ける「一気通貫体制」にある。これにより、顧客は複数の委託先と個別に調整する手間を省くことができ、プロセス開発から商用生産への移行が迅速かつスムーズに行われるため、顧客の研究開発効率化に絶大な貢献を果たしている。第二に、特定のセグメントにおける先進的な対応力であり、特に半導体関連材料における「低金属対応力の強化」や、医薬分野における「高薬理活性原薬対応」が挙げられる。半導体の微細化に伴い極めて厳しい不純物管理(ppbオーダー)が求められる中、同社は低金属対応の製造棟などを完工させており、より付加価値の高い高度な顧客ニーズに対応できる独自の製造体制を築いている。第三に、バイオおよび中分子医薬分野における「強力なアカデミア・事業会社とのネットワーク」である。大阪大学や千葉大学、滋賀医科大学をはじめとする先端研究機関やベンチャー等との国家プロジェクトへの参画、VCを通じた共同プロジェクト等に参画しており、これが次世代の先端技術獲得や新規案件獲得の強力なフックとなっている。

今後の成長見通しについては、中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を開示しており、2028年3月期に売上高120億円(年平均成長率13%)、調整後EBITDAマージン30%超の達成を目標に掲げている。この目標達成を支える成長ドライバーとして、2つの新棟が重要となり、量産ステージ案件の獲得を中心に新規受注額も増加させる。量産ステージの売上比率は今後も2/3以上を目指し、その種となる開発ステージの積極受注は必須と認識している。生産体制においては約55億円規模の設備投資(出雲第二工場の機材新棟FP-4や、バイオリサーチセンター新棟D棟の完工など)を実行中であり、生産能力を150%に引き上げる計画である。また、専門知識を有する営業部門員を約2倍に増強し、年間受注高125億円を目指す営業力の強化を推し進めている。課題であった「第4四半期への売上偏重」という構造に対しても、バイオおよび機材分野における四半期売上の底上げを徹底し、設備増強を通じた案件の平準化を図ることで、業績の予見可能性(蓋然性)を確実に高める対策を実施している。

市場環境についても研究開発の外注市場は化学品でCAGR6.4%、医薬品でCAGR9.1%と、国内の研究開発、量産品の外部委託は増加傾向にある。サプライチェーンの外国依存度が高く、安定供給ニーズの観点からリスクの見直し、円安も後押しされ国内回帰が進捗して国内受託企業に追い風となっている。

株主還元では、同社は企業価値拡大に向けた投資余力を総合的に勘案し、業績状況に即した安定配当を継続して実施する方針を堅持している。2027年3月期は年間33円の安定配当を実施する予定。同社は、手元流動性を新設備などの「将来の成長投資」へ機動的に振り向ける方針を採っており、自己資本比率を一定水準に維持しながら、成長による将来の利益還元と配当の安定性を両立させるバランスの取れたキャピタルマネジメントを志向している。


<YS>

フィスコニュース

マーケット ニュース一覧