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銘柄/投資戦略 2026/09/08 14:35 一覧へ

ミルボン:上期好調で通期計画上方修正と自社株買いを発表、米国6割成長など海外が業績を牽引

*14:35JST ミルボン:上期好調で通期計画上方修正と自社株買いを発表、米国6割成長など海外が業績を牽引 美容室専売のヘアケア用剤や染毛剤を中心とする化粧品メーカーであるミルボン<4919>は、足元中期事業構想(2022-2026)の最終年度にあたるが、重点エリアと位置づけた米国・EU・韓国を中心に海外の高成長が鮮明となっており、2026年8月10日には2026年12月期中間決算と併せて通期業績予想の上方修正、18億円を上限とする自己株式取得を同時に発表した。2027年2月に開示予定の次期中期経営構想(2027-2031)に向け、海外の成長持続と国内の再成長、そして資本効率を意識した資本政策の進化には注目していきたい。同社株価は決算発表を受けて急騰し、足元では3,100~3,300円近辺と年初来高値圏で推移しているが、依然として株価の戻り余地は大きい。

直近の2026年12月期上期業績は、売上高26,878百万円(前年同期比8.3%増)、営業利益3,347百万円(同72.7%増)と大幅な増収増益で着地した。増収効果と売上総利益率の改善に加え、販促関連費用の減少や販管費の一部計上時期の期ずれもあり、営業利益率は前年同期の7.8%から12.5%へと大きく改善した。牽引役は海外で、海外売上高は7,884百万円(同24.7%増)に上昇、特に米国は北米全域での代理店販売体制の構築が完了と関係強化が進み、シェアを拡大した。競合ブランドの代理店変更による追い風は一巡したものの、セルアウトが順調であることから、下期以降も好調が続くと見ている。前年に政情不安の影響を受けた韓国も営業活動強化により売上・利益ともに好調で、中国も重点サロンへの提案活動・教育活動の成果により現地通貨ベースで底堅く、EUはヘアケア新製品の拡販に加えて新規サロン開拓も進展した。国内売上高もヘアケア溶剤が底堅く推移して計画を上回った。スモールマス市場を意識した新製品「スワエ」や「オージュア」「グローバルミルボン」などプレミアムブランドの店販が順調だったほか、市場全体でヘアケアが4~5%伸びる追い風に加え、フィールドパーソンの活動体制を前期に見直した効果が営業成果として表れてきているという。

上期の好調を踏まえ、通期業績予想は売上高55,600百万円(前期比5.2%増、従来比+8億円)、営業利益6,550百万円(同15.9%増、同+2.5億円)へ引き上げた。修正計画には中東情勢に起因する原材料・資材等のコスト増(約5億円)を織り込んでおり、営業利益の修正幅が上期の計画超過幅に比べ控えめであるのは、この中東影響を下期にそのまま残していることや、米国の一部利益計上が上期に前倒しとなった影響を勘案したためで、なお上振れ余地が残る。為替前提も1米ドル150円・1ユーロ180円と上期実績より円高に設定されている。国内では、中東影響で発売を延期した新ヘアカラーブランド「プレトワ」を9月に投入予定であり、売上目標は当初の10億円から7億円へ引き下げたものの、苦戦が続いたファッションカラー領域を立て直す試金石として注目される。

同社は美容室専売モデルに特化し、TAC製品開発システムやフィールドパーソン(FP)システムを軸とした顧客密着型の営業体制を展開している。製品と共に「美容室の増収増益」を実現するサービスを提供することで、美容室との強固な信頼関係を構築している。国内においては、業務用ヘア化粧品市場におけるシェアは17.1%(2025年度、富士経済データより)と業界首位に位置しており、TAC製品開発システムやフィールドパーソン(FP)システムを軸とした顧客密着型の営業体制を展開。カテゴリ別売上高比率ではヘアケア用剤が全体の6割強、染毛剤が3割強を占め、「オージュア」「グローバルミルボン」などの高付加価値ブランドが主力である。また、美容室の顧客がオンラインで店販品を購入できるECプラットフォーム「milbon:iD」は登録者111.5万人まで拡大しており、EC売上は通期25億円を計画している。

国内の主要競合他社としてはナプラやタカラベルモントなどだが、同社の差別化ポイントは、美容室市場に特化し、製品と技術教育を組み合わせた一体型の提供体制を持つ点が挙げられる。とくにFPによる個店対応力は同社の強みであり、国内外でサロン現場への技術支援を行うことで、高価格帯製品の導入と継続利用を実現している。たとえばヘアケア領域では、サロンケアとホームケアを組み合わせたモデルによってLTV向上を図っており、今後はmilbon:iDやスマートサロンを通じて美容室を経由した消費者へのオンラインでの販売接点も強化する方針である。一方で製品による魅力を訴求しきれていないこともまた事実であり、さらなる営業改善に期待される。

今後の成長戦略については、次期中期経営構想(2027-2031)が焦点となる。従来と同様の5カ年設計であり、2027年2月の開示に向けて検討が進められているが、軸となるのは米国・EU・韓国・中国を含めた海外の売上成長であり、加えて人口動態など事業環境が厳しい中でも国内をもう一度成長させる意識を強く持っているという。国内では、プレトワをはじめとする高付加価値新製品の投入とFPの生産性向上による収益力強化を図るほか、設備投資では人材開発センターを主要項目に掲げ、FP教育・美容師教育の基盤強化を進める。米国では、代理店経由の販売網に日本で培った教育・経営支援モデルを組み合わせる進化を掲げており、東部での直販再成長も企図する。milbon:iDやスマートサロンといったDX基盤のマネタイズ、AI活用の具体像も次期中計の注目点となろう。

市場環境としては、国内の美容室には少子高齢化により客数が中長期的に減少する課題がある中、高単価メニューの推進や店販品によって美容室の生産性・客単価は更なる向上が見込める。国内美容室数はおよそ20万軒とされる中、同社製品を取り扱っている美容室は約5万軒と推測されており、FPが訪問可能なサロン数は約1万件にとどまることから、既存顧客の売上拡大と代理店連携による支援が依然として今後の収益ドライバーとなる。海外では、米国・韓国・中国で足元の成長が確認されており、EUでもギリシャ・ノルウェーなど代理店展開国を広げながらブランドの浸透を進めていく考えである。

株主還元では、配当性向50%を目安に累進配当方針を継続しており、2026年12月期は年間88円(中間40円・期末48円)を予想する。自己株式取得は前期の19.99億円に続き、今期も18億円(90万株上限、取得期間2026年8月12日~12月17日)と2年連続の実施となり、資本効率の向上と株主還元の強化への意識が高まっている。そのほか、100株以上の株式を保有する株主を対象に、毎年自社製品を届ける株主優待制度を実施しており、保有株数・期間ごとのコースによって優待品は異なる。

総じて、ミルボンは、米国を筆頭とする海外の高成長が業績を牽引する構図が鮮明となり、上方修正と自社株買いの同時発表で資本市場への姿勢の変化も見え始めている。国内ではカラー剤で苦戦が続いたものの、9月投入の「プレトワ」など新製品によってさらなる巻き返しを図る局面にあり、全社一丸となった立て直しに期待がかかる。2027年2月に開示される次期中期経営構想(2027-2031)が、海外成長と国内再成長、資本効率の改善をどう描くかがバリュエーション見直しの鍵となろう。

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