INEST Research Memo(3):営業人材約1,000名がマルチチャネルで多様な生活関連サービスを提供(2)
*12:43JST INEST Research Memo(3):営業人材約1,000名がマルチチャネルで多様な生活関連サービスを提供(2)
■INEST<7111>の事業概要
「2. 事業の特徴と強み」のつづき
(3) マルチサービスによる収益基盤
同社はライフスタイルアドバイザー事業を中心に、通信、宅配水、電力、ガス、保険、各種コンテンツなど幅広いサービスを取り扱っている。また、BPO事業、アライアンス事業、パートナー事業、グローバル事業なども展開しているため、顧客との接点を複数のサービスへ展開できる。1回の契約で終わるのではなく、クロスセルやアップセルを通じて顧客当たり収益を拡大できる構造である。
(4) ストック利益モデルへの転換
同社は、販売手数料中心のビジネスモデルから、継続課金型サービスを中心としたストック利益モデルへの転換を進めている。自社会員サービスの販売拡大を通じて顧客との接点を長期化し、LTVの最大化を図る戦略である。ストック利益は、契約期間中に継続的に発生する利益を示す指標であり、経営上の最重要KPIとして位置付けている。
(5) 自社会員サービス「Smartシリーズ」強化による差別化
自社会員サービスである「Smartシリーズ」は、通信、生活支援、セキュリティ及び外国人向け生活サポートなどの継続課金型サービスで構成されている。特に在留外国人向けサービスである「Global Support Desk Plus」は、多言語で生活支援を行うサービスであり、今後拡大が見込まれる在留外国人市場を取り込む戦略商品として位置付けている。同サービス群は継続課金型の収益モデルであることから、同社が重視するストック利益の拡大に寄与する。
■業績動向
2026年3月期はストック利益の増加により既存事業が増収増益と堅調に推移
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上収益で前期比4.1%減の18,185百万円、営業利益で同22.2%増の255百万円、税引前利益で同58.8%増の160百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同327.0%増の180百万円となった。売上収益については、2025年7月に実施したアイ・ステーション株式譲渡の影響により減収となった。しかしながら、同社によれば既存事業ベースでは増収を確保しており、主力事業の収益力はむしろ向上している。利益面では、選択と集中による事業ポートフォリオの見直し、不採算領域の縮小、人員配置の最適化などが奏功し、営業利益及び当期利益は大幅な増益となった。
特に第4四半期の業績改善が顕著であった。第4四半期の営業利益は491百万円となり、前年同期比148.0%増となった。販売件数及び顧客単価が計画を上回ったことに加え、自社会員サービスの販売拡大によるストック利益の積み上がりが寄与した。また、組織統合を通じて営業リソースを主力事業へ再配置したことも利益改善に寄与した。
自社会員サービスについては、継続率の低いアフィリエイト経由の顧客獲得を縮小し、継続率の高い自社販売チャネル経由の獲得へシフトしたことも収益改善に寄与した。加えて、市況好転を背景として顧客紹介件数が増加したほか、販売手数料条件も改善した。これらの要因が重なったことで、ストック利益の積み上がりが想定を上回るペースで進展した。
同社は2026年3月期中に業績予想を修正したが、最終的には修正後予想を上回る着地となった。修正後予想に対する達成率は、売上収益が107%、営業利益が102%、親会社の所有者に帰属する当期利益が401%となっており、収益改善施策が想定以上の成果を上げたことがうかがえる。
2. サービスライン別売上収益とストック利益
同社では、売上収益を「一時金売上」と「ストック売上」に区分して管理している。2026年3月期の売上収益は18,185百万円となった。このうち、一時金売上は自社サービス31百万円、他社サービス15,662百万円となり、ストック売上は自社サービス1,803百万円、他社サービス687百万円となった。前期と比較すると、自社サービスのストック売上は1,599百万円から1,803百万円へ増加しており、同社が重点戦略として掲げるストック利益の拡大が進展している。
ストック売上は、新規契約獲得時に発生する一時的な手数料収入とは異なり、契約や会員が継続する限り継続手数料や月額課金収入が積み上がる構造である。このため、短期的には営業費用や広告費が先行するものの、中長期的には収益の安定化と利益率向上に寄与する特徴を有している。
同社はストック利益をKPIとして位置付けている。ストック利益は、宅配水や通信サービスなどの継続手数料、自社が運営するWebサービスの月額課金収入などのストック売上から、OEM提供元への原価やサービス運営原価などのストック原価を控除して算出される。なお、ストック売上の66%は「Smartシリーズ※」に代表される自社会員サービスにより獲得している。単なる売上収益ではなく、将来にわたり継続的に創出される利益を測定する指標として活用している。
※ 電力・ガス・通信事業者等と提携し、契約者を対象に月額990円で提供するサブスクリプションサービス。契約者を対象とした優待サービスのほか、保険や近隣トラブル解決サポート等のサービスを自動付帯している。
ストック利益の拡大に向けて、同社は「保有数」「売価」「原価」の最適化を重視している。具体的には、電気、ガス、通信、宅配水、自社会員サービスなどのストック商材について、契約数の拡大だけでなく、収益性や解約率も踏まえながら運営している。すなわち、単に契約数を追求するのではなく、長期にわたり利益貢献が期待できる商材を厳選しながら販売している点に特徴がある。こうした取り組みにより、ストック利益は2023年3月期の2.9億円から、2026年3月期には計画値13.0億円を上回る13.7億円まで拡大している。
弊社では、同社の収益構造が販売手数料中心のフロー型ビジネスから、ストック利益を積み上げるストック型ビジネスへ移行しつつある点を評価している。実際、同社のコンタクトセンターによる新入居者サポートモデルでは、電気、ガス、通信、宅配水、保険など複数サービスを組み合わせて提案することで、一時金収入に加えて継続課金収入を獲得できる仕組みを構築している。契約後も継続的に収益が発生するため、契約数の積み上がりが将来の利益成長につながる構造となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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