アクシス Research Memo(7):前中期経営計画を刷新し、価値共創パートナーとして次なる成長へ(1)
*12:07JST アクシス Research Memo(7):前中期経営計画を刷新し、価値共創パートナーとして次なる成長へ(1)
■アクシス<4012>の中期経営計画
1. 中期経営計画「Go Beyond」の概要
同社は2026年2月、「Go Beyond ~SIの先へ、価値共創パートナーへの進化~」をテーマとする新たな中期経営計画を公表した。これは、前中期経営計画「Vision 2027」において成長戦略の進展と財務目標の達成に一定の成果が見られたことに加え、生成AIやSaaS型プラットフォームの急速な普及による高度化する顧客ニーズや事業環境の変化に対応するため、前中期経営計画を刷新したものである。
新中期経営計画では、「顧客価値向上」「企業価値向上」「社会的価値向上」の3つを中期方針として掲げている。従来のシステム開発受託企業から、顧客の経営課題解決に伴走する「価値共創パートナー」への転換を目指す。成長戦略は、「事業戦略」「経営基盤強化」「投資戦略」の3本柱で構成される。最終年度となる2029年12月期の目標として、売上高14,000百万円以上、営業利益1,600百万円以上、営業利益率12.0%以上、ROE18.0%以上、配当性向40.0%以上を掲げている。さらに、2029年12月期の目標達成後は、中長期的に売上高200億円規模への成長を目指す。M&Aの活用も視野に入れながら、東証プライム市場を意識した企業価値向上を推進する。
中期経営計画期間(2026年12月期~2029年12月期)の投資戦略については、2025年末時点の手元資金34億円に加え、期間中に見込む累計営業キャッシュ・フロー70億円超を活用する。また、M&Aの実行に伴い、財務健全性を維持できる範囲での借入も活用しながら成長投資を進める。資金配分としては、成長投資に80億円超、株主還元(配当)に15億円超を充当し、残額を運転資金に充てる計画だ。なお、成長投資の内訳は、高付加価値ビジネスや先端技術、新サービスに関連するM&Aに40億円超、人材採用・育成や待遇向上などの人材投資に30億円超、サービス開発・設備投資に10億円超を見込んでいる。
2. 事業戦略
同社は、新中期経営計画の成長ドライバーとして、(1) SI主力産業の深耕と未開拓産業への展開、(2) 成長性の高い技術領域やサービスの拡大、(3) AI活用による事業の高度化、の3つを掲げている。これらの施策を相互に連携させることで、高付加価値化による収益性向上と持続的な成長の実現を目指す。
(1) SI主力産業の深耕と未開拓産業への展開
同社は、強みである業務知見と現場対応力を生かしながら営業体制を強化し、既存顧客との取引拡大と新規市場の開拓を進める方針だ。SIの主力顧客分野である金融、公共社会インフラ、情報通信分野では、既存顧客への提案領域を拡大するとともに、大型案件や上流工程案件の受注拡大を図る。一方で、製造業をはじめとする未開拓産業への進出も進め、顧客基盤のさらなる多様化を目指す。
また、売上単価の高いITコンサルティングやシステム企画などの上流工程に加え、デジタル基盤やネットワーク構築といったインフラ領域への展開を強化することで、トータルSIサービスの体制を構築する考えである。これにより、高付加価値領域の売上構成比を引き上げる。商流面では、戦略的パートナーシップの構築や新規アライアンス先の開拓を進める。協業体制の強化を通じて案件獲得機会の拡大を図り、ビジネスパートナー経由の取引比率(エンジニアの稼働実績の割合)を50%以上へ引き上げることを目標としている。
(2) 成長性の高い技術領域やサービスの拡大
成長性の高い技術であるAI、Cloud、SaaS/ワークフロー(Salesforce、ServiceNow等)、ERP(Bizインテグラル、mcframe)、データ分析(Tableau、Snowflake等)の5領域を重点技術と位置付け、これらの技術習得を通じて組織全体のケイパビリティを高め、顧客ニーズへの対応力強化を図る。その実現に向けて、リスキリングによる上流・コンサルティング人材の育成や、IT技術者のスキル高度化を推進する。具体的なKPIとして、フルスタックエンジニアを2025年末時点の172名から350名以上へ、ITコンサルティング・PM人材を49名から120名以上へ、AI系資格保有者・AI関連研修受講者を15名から100名以上へ拡大する計画だ。また、ITサービス事業では、モビリティ分野を中心としたクラウドサービスの機能拡充を進めるとともに、同社が独占的利用許諾を有するAIプラットフォーム「コミュニケーションインサイト」を活用した新サービスの開発にも取り組む。既存サービスの強化と新サービス創出の両輪で成長を加速する方針だ。
(3) AI活用による事業の高度化
同社は、AIを全社横断の共通基盤として位置付け、既存事業の品質向上と生産性向上を図る。システムサービス事業では、要件定義や設計工程にAIを組み込むことで、業務分析の精度向上やドキュメント作成の効率化を進める。これにより、上流工程における付加価値のさらなる向上を目指す。ITサービス事業では、自社AIプラットフォームを活用し、顧客業務の可視化や運用効率化を支援する新サービスを創出する。AIを全事業の共通基盤として活用し、提案力強化や生産性向上を通じて、収益性改善と事業進化の両立を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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