BS11 Research Memo(6):「Value4」の推進で企業価値向上を目指す
*12:06JST BS11 Research Memo(6):「Value4」の推進で企業価値向上を目指す
■日本BS放送<9414>の中長期成長戦略
1. 中期成長戦略「6つの“力”」の強化・実践
2020年8月期より番組制作と販売の一連の流れに沿って、1) マーケティング力:データベースの分析・活用による潜在的な需要喚起、2) 企画力:視聴者やクライアントのニーズを捉えた企画立案、3) 戦略構築力:環境変化に応じた機動的かつ効果的な戦略構築、4) 実行力:知恵と知識を結集して戦略を強力に実行、の「4つの“力”」を打ち出し、良質な番組づくりへの実効性を高めた。2021年8月期からは、5) 変化対応力:経営環境の変化に応じた戦略を構築する力、6) 改革推進力:過去に囚われず新たな挑戦を続ける力、を加えて「6つの“力”」として実践している。
2. 2026年8月期の重点施策「Value4」の進捗状況
同社は2026年8月期から、「6つの“力”」を具現化する重点施策として、「I. 放送事業収入の最大化」「II. 独自IPコンテンツの開発加速」「III. アニメビジネスの収益基盤拡充」「IV. 企業価値向上のための戦略的投資」の4点を「Value4」として掲げて推進している。計画では、放送収入の回復とIPコンテンツやアニメへの投資拡大による周辺事業収入の積み上げを目指しており、これらの重点施策を推進することにより強力に後押しする。
I. 放送事業収入の最大化
主軸の放送事業収入は2026年8月期中間期において予想をやや下回る実績となった。下期もタイム収入でショッピングカテゴリーの伸び悩みを予想する一方、スポット収入では増加基調の純広告スポットのセールスに注力し増収を目指す。スポンサーへの強力なアピールとなるコンテンツ施策として、当期から、報道、エンタメ、音楽、紀行・教養、ドラマ、スポーツ、アニメ等各分野の番組ラインアップを強化するとともに広告宣伝にも注力し、各分野のメイン視聴者の反応を番組作りや番組編成に反映させて高視聴率を獲得する取り組みを進めている。これにより、放送事業収入の早期回復とさらなる成長を目指す。具体例として、2026年4月からは、BS視聴者に人気の高いゴルフ番組をレギュラー化し、『飯島茜のアカネ式!大学女子ゴルフ部』を自社制作により放送している。また、同時期の3月からは、2026年で8年目を迎える若手女子ゴルファーによるトーナメント『マイナビネクストヒロインゴルフツアー2026』の年間18試合の放送を開始しており、これらの相乗効果でゴルフファンの取り込みを図っている。このほか、ドラマ分野では、国内時代劇等を拡充し、根強い人気を誇る『名奉行 遠山の金さん』や、サスペンスドラマ「松本清張シリーズ」を放送している。中国時代劇や韓国ドラマ、ヨーロッパミステリーと合わせてドラマコンテンツのラインアップをより一層厚くし、新規視聴者の獲得を促進する。
II. 独自IPコンテンツの開発加速
IPの積極活用による多面的な事業展開、及びコラボレーション施策を推進している。前者については、前述の『雨上がりのスカイツリー』を配信プラットフォームで先行配信し、2026年4月には同社で放送を開始した。また配信に先立ち上映イベントを開催したほか、同月にはTVerで見逃し配信を行う等、収益拡大に向け多面的に対応した。IPコンテンツの活用において重要な位置づけとなる配信事業収入は、2026年8月期第1四半期に前年同期比で331.7%増、第2四半期は同207.7%増と堅調に推移した。下期も「BS11+」において、テレビ放送している『宝塚カフェブレイク』でのタカラジェンヌのインタビューのノーカット版や未公開トーク映像を公開する『宝塚カフェブレイク+(プラス)』を配信する等、コンテンツ充実策を行っており、引き続き積極的な対応を図る。後者については、番組ファンの基盤形成・拡大に向けたイベントを展開している。レギュラー番組の『太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選』では「太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選 presents 第1回『太田和彦と呑もう会』in 新潟県・長岡」と題するイベントを開催し、番組で訪れた名店にて出演者の太田さんと視聴者が触れ合う機会を提供した。また、人気歴史番組の『偉人・敗北からの教訓』では「『村井美樹と伊東潤のお城活TV』SPイベント」を開催し、視聴者が出演者の伊東さんと小田原城の魅力や歴史を一緒に学ぶツアーを開催した。
III. アニメビジネスの収益基盤拡充
各クールにおいて、新作を中心に多くの良質なアニメを放送する番組編成は同社の強みである。2026年8月期も引き続きアニメコンテンツの充実とともに周辺事業を拡大し、収益基盤の拡充を図っている。2026年4月クールは話題の新作を含む37作品を放送している。人気の『転生したらスライムだった件』の第4期シリーズのほか、『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』や『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』等の話題作を放送開始した。また周辺事業として前述の「コトブキヤくじ」のほか、2026年3月には「AnimeJapan 2026」に出展し、新作アニメの豪華キャスト陣によるトークステージを開催した。今後は、(株)A3と協業してアニメ放送作品をグッズ化し、期間限定のポップアップストアで販売する企画の展開も予定している。このようにアニメ分野のさらなる成長に向けた取り組みを加速させ、「アニメのBS11」としての地位向上と収益拡大を推進している。
IV. 企業価値向上のための戦略的投資
2030年の売上高130億円超、営業利益率20%超の達成に向けて、安定的・効率的な収益体制を構築すべく、IPやアニメといったコンテンツ投資に加えてAI等の先端技術を活用した生産性向上のための投資や人材投資等を強化する。売上面では、収益の柱である放送事業の拡大と、アニメ関連や配信をはじめとする成長分野に注力する。特にその他事業収入については、売上高に占める割合を2025年8月期の7.7%から2030年には15%超に成長させる方針で、M&Aや資本業務提携等のアライアンスを検討中だ。並行してコスト効率の向上を追求し、営業利益率を高めるための施策の具体化を検討している。
アライアンス事業の一環として、資本提携する(株)エフエム東京とコラボレーションしたイベント計画を進めており、2026年5月には、日本武道館にてイベント「TOKYO FM/BS11 presents 昭和100周年記念 昭和ゴールデンHITS 100 in Orchestra〜宝塚レジェンドスターたちが歌う昭和の名曲!〜」を開催した。同社は、イベント開催で多くの実績を有するエフエム東京とコラボレーションを重ねることで、イベント開催のノウハウを蓄積するメリットを享受できているようだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
<MY>