エスプール Research Memo(5):ビジネスソリューション事業は12期連続で2ケタ増収
*11:05JST エスプール Research Memo(5):ビジネスソリューション事業は12期連続で2ケタ増収
■エスプール<2471>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上収益は前期比19.6%増の15,016百万円、営業利益は同21.7%増の3,699百万円と過去最高業績を更新した。売上収益に関しては12期連続で2ケタ増収を達成したことになる。ロジスティクスアウトソーシングを除くほぼすべての事業で増収増益となり、とりわけ重点事業と位置付けている障がい者雇用支援サービス・広域行政BPOサービス・環境経営支援サービスの3つの事業が業績のけん引役となった。
a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上収益は前期比16.4%増の8,035百万円と2ケタ増収が続き、営業利益は約27億円(前期は約25億円)となった。営業利益率は売上構成比の変化(ストック型売上となる農園管理収入の構成比上昇)や減価償却費の増加(約7億円増)等により前期の約36%から約34%に低下した。設備販売区画数が期ズレの影響により1,398区画と計画(1,450区画)をやや下回ったものの、栽培設備や人材紹介料の値上げ(7%前後)を下期に実施したことにより売上収益・営業利益ともに計画を達成した。
売上収益の内訳を見ると、設備販売高が前期比3.2%増の2,413百万円、運営管理収入が同24.6%増の4,867百万円、人材紹介料が同14.7%増の751百万円となった。新たに7農園(屋外4/屋内3)を開設したが、販売区画数は同3.3%減の1,398区画とサービス開始以降で初めて減少に転じた。2024年4月に企業の障がい者法定雇用率が2.3%から2.5%に引き上げられたことに伴い、既存顧客からの追加発注(全体の3~4割を占める)や新規顧客からの引き合いが活発に推移した一方で、退職者補充を含めた人材採用が需要に追い付かず販売区画数の下振れ要因となった。年間の退職率は8%と低水準を維持しているが、運営区画数の積み上げとともに退職者数も増加傾向にあり、既存顧客の退職補充を優先した。障がい者の紹介数は前期の800人強から1,000人強と約2割増加した。
新規販売を抑制した影響で新規契約社数は前期の106社から69社に減少し、期末の契約企業数は前期末比58社増の664社、運営管理区画数は同16.7%増の8,809区画となった。運営管理料の単価が約5%上昇したが、主に単価の高い屋内型の比率が上昇したことによる。なお、期末の受注残は約570区画と前期の約580区画からは若干低下したものの、引き続き高水準を維持しており、旺盛な需要が続いているとの認識に変わりない。
b) 広域行政BPOサービス
広域行政BPOサービスの売上収益は前期比8.4%増の1,506百万円、営業利益は約1.5億円(前期は5百万円の損失)と会社計画を若干上回って着地した。上期は新型コロナウイルス関連やマイナンバー関連などのスポット業務が縮小または終了した影響で約2億円の営業損失を計上したが、下期に入って定額減税関連業務がスタートし売上収益が回復したこと、システムの見直し等により販管費の抑制に取り組んだことが収益改善に寄与した。四半期ベースの売上では、第4四半期に589百万円と過去最高売上を更新した。なお、BPOセンターは宜野湾市(沖縄県、2024年7月開設)に新設し、期末の拠点数は前期末比1拠点増の21拠点となった。
c) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上収益は前期比67.8%増の1,593百万円、営業利益は約7億円(前期は約5億円)と会社計画(売上収益1,430百万円、営業利益約600百万円)を上回る増収増益となった。上場企業向けのCDP回答支援業務の受注社数が前期の167社から250社と1.5倍に拡大したほか、温室効果ガス排出量算定業務等も好調に推移した。また、新たに開始した自治体向けの「脱炭素支援サービス」もグループシナジーを生かして50超の自治体から受注(うち、18自治体は包括連携協定を締結)するなど好調に推移した。
売上収益は企業向けが前期比37.9%増の1,309百万円、自治体向けが283百万円となった。四半期ベースでは、第4四半期に983百万円と集中しているが、これは企業向け売上の7割強を占めたCDP回答支援業務の売上計上時期が納品期限である第4四半期に集中したためだ(前期は第3四半期が納品期限)。
d) その他
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上収益は前期比9.5%減の1,331百万円、営業利益は約0.2億円(前期は約0.8億円)となり、会社計画を下回った。前期に物流センター運営代行業務から撤退した影響により124百万円の減収となったほか、EC事業者向け商品発送代行業務も2023年8月に新設した流山センターの立ち上げに手間取った影響で1.1%減収となった。利益面では、流山センターの立ち上げに際して、未経験者が多かったことに伴う生産性の低下、並びに人件費の増加が減益要因となった。同センターのオペレーションの問題は第2四半期でほぼ解消したものの、下期の営業利益率も4%前後と低水準に留まり、今後の課題となっている。
採用支援サービスの売上収益はサービス業界(外食・小売等)におけるアルバイト・パート求人需要の拡大を追い風にして前期比10.0%増の787百万円、営業利益は約1.4億円(前期は約1億円)と過去最高を更新した。AI活用により1件当たりの売上単価は1割強下落したが、件数増加でカバーした。また売上収益の約1割を占めるWeb面接代行サービスも2ケタ増収と着実に伸長した。営業利益率もAI活用による生産性向上により20%弱まで上昇した。なお、顧客企業数についても前期末の168社から215社に増加した。
セールスサポートサービスの売上収益は、新規拠点開設(福岡・札幌)の効果や大規模キャンペーンを受注したこと、新たに開始した(株)ベルシステム24との共同サービスが順調に拡大したこともあり、前期比44.9%増の1,166百万円と過去最高を更新した。一方、営業利益は拠点開設や人員体制の強化など先行投資を実施したこともあり前期比横ばいの約1億円に留まった。
(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上収益は前期比20.2%減の10,620百万円、営業利益は同31.5%減の867百万円と3期連続の減収減益となり、会社計画(売上収益12,325百万円、営業利益1,120百万円)に対してもそれぞれ未達となった。主力のコールセンター向け派遣の売上が新型コロナウイルス感染症関連業務終了後も新規案件が低調で回復せず、売上収益は同21.8%減の8,583百万円となったことに加え、販売支援業務も主力の携帯電話ショップ向け派遣の需要低迷により同15.3%減の1,220百万円と低調に推移したことが主因だ。その他は第4四半期から建設業界向け派遣サービス(施工管理士・建設CADオペレータ等)を開始したこともあり、同5.1%増の817百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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