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エスプール Research Memo(8):ビジネスソリューション事業は13期連続で2ケタ増収となる見通し

2025年02月19日 11:08 銘柄/投資戦略

*11:08JST エスプール Research Memo(8):ビジネスソリューション事業は13期連続で2ケタ増収となる見通し ■エスプール<2471>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上収益は前期比12.6%増の16,908百万円、営業利益は同14.3%増の4,229百万円と2ケタ増収増益となる見通しだ。主要サービスの業績計画と主な取り組み方針は以下のとおり。

a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上収益は前期比12.0%増の9,000百万円、営業利益は約29億円と同1ケタ台後半の増益を見込んでいる。営業利益率が約34%から約32%に低下するが、これは売上構成比の変化と減価償却費の増加が主因である。売上収益の内訳は、設備販売が同1.9%減の2,366百万円、運営管理収入が同19.6%増の5,821百万円、人材紹介料が同8.3%増の813百万円となる。

設備販売に関しては、新たに6農園(屋外2、屋内4/神奈川・大阪各2、東京・埼玉各1)を開設し、販売区画数は前期比7.0%減の1,300区画と前期に続き減少する見込みだ。2025年11月期は退職に伴う既存農園の欠員補充対策(採用強化・退職抑制)に優先的に取り組み、新規販売は一時的に抑制する方針としたためだ。三大都市圏では需要に見合うだけの障がい者の採用が難しくなりつつあることから、2026年以降にサービスエリアを七大都市圏及び地方都市に拡大するための準備も並行して進めていく。

四半期別の販売区画数は、第1四半期が275~325区画、第2四半期が325~375区画、第3四半期が250~300区画、第4四半期が350~400区画を計画している。解約がなければ期末の運営管理区画数は前期末比で14.8%増の10,109区画となる見通し。引き合いは前期と変わらず旺盛なため、障がい者の採用さえ順調に進めば計画達成は可能と見られる。

b) 広域行政BPOサービス
広域行政サービスの売上収益は前期比16.2%増の1,750百万円、営業利益は約3.2億円と同2倍増を見込む。前期と同様、下期に国策案件が集中するため下期偏重型の売上計画となっている(上期500百万円、下期1,250百万円)。国策案件としては前期に受注した定額減税関連業務を含めて3~4件が見込まれており、このうち2件だけで10億円超の見積もり額で、すべて受注できれば計画を上回る可能性も十分にある。取引自治体数はサービス開始以降、400弱まで増加しており、これら自治体における定期業務の受注獲得にも注力する。また、BPOセンターの新設は2025年春に宇部市(山口県)の稼動が決まっており、あと1~2ヶ所程度開設することを検討している。

c) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上収益は前期比15.5%増の1,840百万円、営業利益は約8億円と同13%増を計画している。このうち、企業向け売上収益は同17.5%増の1,540百万円、自治体向けは同5.7%増の300百万円となる見込み。企業向けについては継続率8割となるCDP回答支援業務の契約社数増加に加えて、そのほかのサービスも含めた既存顧客550社に対するクロスセルに取り組んでいく。一方、自治体向けについては包括連携協定を締結した自治体を中心に安定した売上を見込んでいる。2025年11月期はCDPの回答期限が第3四半期となるため、売上収益も第3四半期に900百万円と偏重する計画である。

d) その他
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上収益は前期比3.8%減の1,280百万円、営業利益は保守的に収支均衡水準で計画している。売上収益は主要顧客1社との取引が2025年1月に終了したマイナス影響(約1億円)を織り込んでいる。物流センター(品川・流山)がフル稼働となれば、月商1.5億円程度が見込まれるが、当面は利益重視の営業活動を行い、収益力の改善に向けて抜本的な立て直しに取り組んでいく。

採用支援サービスの売上収益は前期比11.1%増の875百万円、営業利益は約1.5億円と同1ケタ台の増益を見込んでいる。応募受付代行サービスについてはAI活用によって価格競争力を高め、新規顧客を開拓することで増収を見込む。また、親和性の高い面接代行サービスとのパッケージ販売や既存顧客に対するクロスセルを推進する。

セールスサポートサービスの売上収益は前期比22.6%増の1,430百万円、営業利益は約1.5億円と同50%増を計画している。前期に実施した拠点開設効果により主要取引先との取引拡大が進むほか、ベルシステム24との協業による顧客獲得も進む見通しだ。リアルでの販促キャンペーン案件はナショナルクライアントを含めて増加傾向にあり、今後も積極的に受注する方針だ。

(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上収益は前期比4.9%減の10,100百万円、営業利益は同8.3%減の795百万円を計画している。売上収益の内訳は、コールセンター業務が同2.1%減の8,400百万円、販売支援業務が同26.2%減の900百万円、その他が同2.1%減の800百万円となる。販売支援業務は携帯電話ショップ向けの縮小傾向が続く見通し。その他の建設業界向けの派遣は3億円程度の売上を見込んでいる。全体の売上収益は足元のコールセンター業務の需要がやや回復傾向となっていることから、前下期(5,064百万円)の水準をベースに計画した。

2025年11月期の売上収益は4期前(2021年11月期)のピークと比較して6割の水準まで低下することになるが、コールセンター派遣の復活に向けて大手コールセンター会社出身の社長を招聘し、顧客目線でのサービス強化に取り組んでいく。主に派遣先常駐社員(フィールドコンサルタント)の育成強化による現場改善力の向上と派遣スタッフの定着率向上によって、生産性の高い高付加価値サービスの提供を目指し、AIでは代替できないコールセンターの需要を取り込んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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