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テクマト Research Memo(4):ネットワーク&セキュリティシステムの構築・保守等を展開するIT企業(3)

2023年12月27日 13:34 銘柄/投資戦略

*13:34JST テクマト Research Memo(4):ネットワーク&セキュリティシステムの構築・保守等を展開するIT企業(3) ■会社概要

(3) 医療システム事業
医療システム事業は、PSP及びその子会社となる医知悟、A-Lineが提供する製品・サービスで構成されており、売上収益の大半はPSPの事業である。

PSPでは、医療機関向けに医用画像の統合管理システム「EV Insite」及びクラウドPACS「NOBORI」、医療機関を支援するサービスプラットフォーム「NOBORI PAL」等を提供している。国内PACS市場におけるテクマトリックス<3762>のシェアは、「NOBORI」及び旧PSPのオンプレミスPACS(以下、オンプレミス製品)を合わせて約22%と業界第2位、クラウドPACS市場に限定すれば79%と圧倒的なシェアを握る。

クラウドPACS「NOBORI」は初期導入コスト(サーバやストレージ等のシステムを構築するコスト)が不要なほか、データをクラウド上で安全に管理するため、病院側でデータバックアップ等のメンテナンス業務が不要になるといったメリットがある。また「NOBORI PAL」のオプションを利用すると個々の医療機関でファイアウォールなどのセキュリティ対策を講じることなく、データセンター経由で医師が自宅から安全に画像を参照することも可能となる。こうしたメリットを訴求しながら2012年のサービス開始以降、既存のオンプレミス製品を利用する中規模・大規模病院のリプレイスや、小規模医療施設の新規開拓などを進めてきた。その結果、2022年3月末時点で契約施設数は約1,180施設まで拡大し、現在もなお拡大を続けている。月額利用料は最低6万円(サービス契約期間は5年間)からで、導入後5年間に蓄積される画像データの予想量に基づく従量課金制となっている。大学病院等のヘビーユーザでは月額利用料が最低利用料の数十倍となるケースもある。サービス開始から12年を経過したが、顧客事由による解約(閉院等)を除けばサービス内容を理由とした解約は発生しておらず、顧客からも高い評価を受けている。旧PSPのオンプレミス製品を導入している約1,100の医療施設に対しても順次、クラウドサービスの提案を進めている。

その他のサービスとして、個人(患者)向けにPHR※1サービス(医療情報共有アプリ「NOBORI」)を提供している。提携医療機関であれば自身の検査結果や薬歴情報、通院履歴、診療・検査予約状況の確認、医療費の後払いサービスなどを利用できるほか、医療情報を家族と共有することも可能である。2022年5月には業界で初めて「マイナポータル」との連携を開始し、行政機関等で管理されている個人の医療情報(特定健診情報や薬剤情報、医療費情報等)を取得して「NOBORI」で確認・保存できるようになった。利用可能な医療機関※2は約100施設と徐々に広がってきており、アプリ登録者数も数十万人まで拡大している。まだ大半は無料会員のため業績への影響は軽微だが、ニーズは極めて強く将来的には同サービスをベースにして様々なソリューションを展開することも可能と見られる。また、エムスリー<2413>と、合弁会社としてAI技術を用いた医療画像診断支援サービスを提供するエムスリーAI(株)を2022年2月に設立し、医用画像診断支援AIプラットフォーム事業の推進を加速している。

※1 PHR(Personal Health Record):個人の健康に関する情報を自己管理のもと集約化するツールやシステムを指す。「NOBORI」は、患者の自己管理のもとクラウド上に医療情報を保存し、患者が自身の医療情報を参照できるスマホアプリを提供している。無料版と有料版(月額100円)があり、利用できる機能に差はないが、無料版はデータ保存期間が1年、有料版は無期限となる。患者に共有できる医療情報(カルテ情報、検査画像、薬歴情報等)やサービス内容(予約申込みやキャンセル等)は医療施設によって異なる。
※2 医療ジブンゴト化サポーターズのサポート医療機関


「医知悟」は遠隔画像診断(読影)を行う放射線科医等の専門医と、画像診断を必要とする医療施設等をつなぐ情報インフラサービスを提供している。「iCOMBOX」と呼ばれる専用通信装置を送り手側・受け手側の双方に設置し、「iCOMSERVER(センターサーバ)」を介して送受信するプラットフォームである。接続拠点数は980拠点以上となっており、登録利用専門医師数は2,000名以上(実質的に稼働している放射線科医の約3分の1が利用)、月間の依頼検査数は約28万件、市場シェアは約55%で第1位である。主な導入施設は、医療機関のほか大手健康診断事業者、衛生検査所、各種病院等である。また、「NOBORI」ユーザであれば専用通信装置を設置しなくても施設外の画像診断を行うことが可能である。

A-Lineは、クラウド型の医療被ばく線量管理システム「MINCADI」を開発・提供している。「MINCADI」は、医用画像検査装置より得られる情報を自動的に取得し、患者ごとの医療被ばく線量や検査ごとの撮影条件をクラウド上で管理し、最適化するためのソリューションである。PSPの線量管理システムも含めた導入台数及び稼働施設数の市場シェアはともに約21%で業界第2位(約500施設)となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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