AMGホールディングス:土地取得から管理まで一気通貫、事業領域の拡大で成長加速
*09:38JST AMGホールディングス:土地取得から管理まで一気通貫、事業領域の拡大で成長加速
AMGホールディングス<8891>は愛知・岐阜地盤のディベロッパーが母体になり事業領域を拡大しながら、2021年に持株会社に移行した会社で、不動産開発事業を柱に、建設事業や不動産管理事業、賃貸事業も手掛ける。グループ会社には分譲マンションを手がけるエムジーホーム、戸建分譲を中心とした川崎ハウジングやTAKI HOUSEがある。2026年3月期第1四半期連結会計期間より注文建築事業を「建設事業」、分譲マンション事業と戸建分譲事業を「不動産開発事業」、管理・賃貸事業を「不動産管理事業」とし、3つのセグメントに集約した。
2025年3月期は、売上高304億円(前期比4.6%増)、営業利益15.5億円(同14.6%減)と増収減益になった。都市圏を中心に旺盛な需要を有する建設事業の好調に支えられて増収を確保したものの、分譲マンションの利益率低下が利益を圧迫した。東急リバブルと共同開発した名古屋・伏見エリアにおける40~50平方メートル台の分譲マンションは、需要が伸び悩んだため、販売が難航すると予想し、結果的に一棟をまとめてファンドに売却する対応を取ったケースもあった。これにより利益率は想定を下回ったが、名古屋近郊や三重・熊本・川崎などの郊外では、名古屋ほど価格が高騰していないため、価格転嫁の余地があると見ている。分譲戸建については、売れる価格帯を重視した家づくり。をテーマとした商品設計を基本とし、価格競争ではなく収益性の確保を重視する方針だ。
建設事業は、東京・名古屋・大阪に拠点を置くアーキッシュギャラリーは多様な商業施設やオフィスビル、賃貸マンション等の設計施工を得意としている。また高垣組は主に岐阜・愛知エリアにて分譲マンションやクリニック、幼稚園の他、公共工事や土木工事の施工を得意とし、地域密着型の建設需要を的確に捉え、コスト上昇を上回る価格転嫁によって利益率を改善。両社は2〜15億円程度の短工期・中規模案件を得意としており、大手ゼネコンとの棲み分けができている。さらに、設計部門を社内に設置しており、他のゼネコンとの差別化要因となっている。不動産管理事業では、分譲マンション、戸建住宅をそれぞれ6,000戸以上管理し、ストック型収益の安定基盤を構築している。共用部の清掃などは外注しているが、外注費の上昇分は共益費への価格転嫁で吸収しており、収益性を維持している。
2026年3月期は、売上高320億円(前期比5.2%増)、営業利益16.5億円(同6.4%増)とやや保守的な見通しだが、今期は大きな赤字を見込む物件はなく、想定通り進捗している。
同社は、土地取得から営業、設計、施工、販売、管理までグループ全体で一貫して行うことができる体制により、コスト削減や品質管理、納期短縮に加え、顧客ニーズの迅速な反映やアフターサービスの強化が可能だ。また、グループ全体で資金を融通できる仕組みを有しており、金利上昇局面においても低コスト調達が可能という強みがある。
中期経営計画では、2030年までに売上高500億円、営業利益30億円の達成を目標に掲げている。2025年6月に中央建設の子会社化に向けた株式取得の中止を発表したが、類似の中堅建設会社の買収は引き続き模索しており、M&Aによる事業拡大を視野に入れている。今後の成長戦略として、建設事業における収益性と効率性の高い案件への選択と集中を進め、同事業の売上構成比を将来的に5割近くまで引き上げたいと考えている。加えて、不動産開発事業の収益性の改善と不動産管理事業におけるストック型収益の強化を図る。これらの既存事業の成長に加え、更なる事業領域の拡大やシナジー創出を通じて、グループ全体としての成長スピードを加速させる。
株主還元については、2026年3月期の年間配当予想を70円とし、前期比では10円増、6期連続の増配を達成する見込み(配当利回りは3.25%)。利益成長との連動性を重視しつつも、前期のような減益期においても安定的な配当方針を維持している。
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