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ティア Research Memo(11):葬祭事業の拡大、TDL事業の育成、M&A子会社のPMIに注力

2023年12月04日 13:21 銘柄/投資戦略

*13:21JST ティア Research Memo(11):葬祭事業の拡大、TDL事業の育成、M&A子会社のPMIに注力 ■ティア<2485>の今後の見通し

3. 2024年9月期の重点施策
(1) 重点施策の取り組み状況
2023年9月期からスタートした3カ年の中期経営計画では、成長戦略として、1) 直営・FC会館の計画的な出店(年間で直営7~8店舗、FC6~8店舗)と既存会館の持続的な成長、2) 中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上、3) 葬儀付帯業務の内製化拡大と、行動力と分析能力を高めたM&Aの実行、4) 計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築、の4点を掲げその取り組みを進めてきた。初年度の取り組みとしては、名古屋市内のシェアが一時的に低下したのを除き、概ね順調に進捗したと評価される。

中核エリアでのシェア拡大施策としては、会員営業の再強化と知名度の低いエリアでのイベント強化により、葬儀件数の増加を目指す。また、多様化する葬儀ニーズに対応すべく、マルチブランドでの営業活動も2023年4月より中部地区で開始した。具体的には、一日葬や火葬式など低価格帯のブランドとして「ティアシンプル」をつくり、インターネット広告や折込広告を導線にして受注している。スタートしてから半年間で問合せ・資料請求件数は1,500件を超えるなど計画に沿った立ち上がりとなっており、今後のシェア拡大に寄与する取り組みとして期待される。

また、顧客サービスの向上とタイムリーなアフターフォローによって業務改善を推進すべく、コンタクトセンターの情報一元管理システムを構築し、2023年1月より全社で運用を開始した。この結果、コンタクトセンターの受電率が向上し、社内向けの発信率が低減するなど、生産性向上に寄与し始めている。2024年9月期は葬儀オペレーションに関するアプリを順次開発し、更なる効率化を図る。

葬儀付帯業務の内製化についても引き続き、カバーエリアの拡大を図りながら内製化率の向上を進める。2024年9月期はエンバーミング・キャンペーンを実施し、認知度の向上と受注件数の増加にも取り組む。また、人的資本の強化を目的に、2024年4月より新人事制度に移行する予定となっている。主な改正内容としては、等級制度の見直し(細分化)や報酬・評価制度の見直し、専門職制や定年延長制度の導入、キャリアアップや福利厚生の充実等が挙げられる。新人事制度の導入による効果として、離職率の改善や勤続年数の延長、採用計画の効率化や採用費・教育研修費用の抑制に加えて、専門職の導入や報酬制度の見直し等により人的資本の再配分が可能となり、生産性の向上につながるものと同社では見込んでいる。

そのほか、TLD事業の育成にも注力している。同社では「ティアの会」会員49万人及び提携団体1,342団体という顧客基盤に向けて、葬儀サービス以外の周辺サービスを提供し、顧客LTVの最大化に取り組むことで収益基盤のさらなる強化を目指している。生前のサービスとしては生活の困りごとを支援する生活関連サービスを、葬儀前の準備段階として樹木想の販売を、葬儀段階では宗教者の紹介やエンバーミング・特殊処置等のサービスを提供し、葬儀後にはアウトバウンドコールにより遺族の相続や不動産関連のニーズを掘り起こし、ニーズに対応した専門事業者を紹介するサービスを行っている。2023年10月には新規サービスの開発を行う未来開発事業本部も新設し、サービスのさらなる拡充を図る。売上規模はまだ小さいものの、それぞれ順調に立ち上がっており今後の動向が注目される。

M&Aに関しては前述した2社について、シナジーを早期に創出すべくPMIに取り組む。今回のM&A発表後には、大きな反響があったようでM&AやFC加盟などに対する問い合わせも増加した。八光殿と東海典礼の子会社化による成功実績ができれば、今後は同様の案件の交渉も従来以上にスムーズに進み、成長スピードも加速していくことが予想される。「ティア」の全国展開という将来ビジョンも現実味が帯びてくるだけに、今後の動向が注目される。

(2) 事業リスク
事業リスクとしては、葬儀単価の動向が挙げられる。核家族化や少子化の進展により葬儀スタイルも家族葬など小規模に済ませるケースが今後も増加する可能性があり、こうした領域では顧客獲得競争も激しいため、葬儀単価が想定通りに回復しないリスクがある。ただ、葬儀を単なる「哀悼の儀式」としてだけではなく、「哀悼と感動のセレモニー」として顧客に感謝される「究極のサービス」を提供していくことで他社との差別化は可能と弊社では考えている。同社の葬儀件数(FC含む)は2023年9月期に国内全体の葬儀件数の伸びを一時的に下回ったものの、趨勢的には業界平均を上回るペースで成長を続けている。また、葬儀単価についても今後、エンバーミングや大型冷蔵施設での遺体の一時保管サービス※の需要が増えてくれば平均単価の上昇要因となる。

※2025年に名古屋市内の火葬場の1つが再整備のために一時的に閉鎖することが決まっており、当該エリアにおいて火葬場の処理能力が不足することが予見され、その対応策として大型冷蔵施設を2023年9月期に設置した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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