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Jオイル Research Memo(6):事業ポートフォリオを見直し、新規事業領域への積極投資により成長戦略を推進

2025年09月03日 11:06 銘柄/投資戦略

*11:06JST Jオイル Research Memo(6):事業ポートフォリオを見直し、新規事業領域への積極投資により成長戦略を推進 ■J-オイルミルズ<2613>の中期経営計画

2. 修正後の第六期中期経営計画
修正後の第六期中期経営計画では、残り2年で、収益基盤を強化するための構造改革、“低負荷”をキーワードとする油脂製品を拡大するとともに、業務用でさらなるシェアアップを目指す。また、執行体制が変わったこともあり、原材料相場や為替変動に対するボラティリティリスクが高い油脂に依存してきた事業ポートフォリオを、より付加価値の高い事業ポートフォリオへの変革にも着手するなど、より成長に踏み込んだ戦略を展開する意向で、海外など新規事業領域への投資を積極化させている。

構造改革では、機動的な不採算事業の撤退や顧客別・商品別採算管理の強化を図るとともに、SCM改革によりコスト削減と生産拠点最適化を促進することで収益基盤を強化する。SCM改革では、「製造物流工程の効率化」「省人化・自動化投資」「SKU数・在庫水準の最適化」を進めるとともに、生産拠点改革では、「油脂生産工程の稼働率最大化」「国内生産拠点の再構築」「海外生産拠点の活用」を展開している。

“低負荷”をキーワードとする商品開発では、従来の「おいしさ×健康」に加え、労働や環境、経済性など調理場などの“低負荷”もテーマに取り入れて商品を開発し、成長ドライバーとする。例えば、労働負荷に対してはあぶらの交換回数の減少、環境負荷に対してはプラスチック使用量やCO2排出量、あぶらの使用量削減による耕作地の削減、経済的な負荷に対してはあぶらの長持ち効果による使用量の減少を目指す。これにより、業務用油脂のシェア拡大に留まらず、紙パック食用油「スマートグリーンパック(R)」による家庭用油脂の拡大など、低負荷を強みとする油脂製品を拡大することで、既存製品の収益性強化を進める。また、R&D戦略面では、味・機能・工業化プロセスなどアプリケーション・評価技術、脂質・風味・食感など成分・構造制御技術、搾油・精製・充填・包装など生産・製造技術に裏打ちされた独自の付加価値である「おいしさデザイン(R)」を引き続き創出していく。これにより、長持ち・経時劣化抑制といった機能や、味と機能性を両立するためのソリューションを提供、顧客の持つ課題の解決を通じて人と環境にやさしい食生活に貢献する考えである。

新規事業領域への投資では、同業他社に比べて出遅れている海外については、海外事業の推進体制や海外人財を強化し、成長市場である北米とASEANに経営資源を投入する。また、独自の技術と強みを活かして事業領域を拡大する。具体的には、テクスチャーデザイン事業では国内で培ったあぶらとスターチを活用した“おいしさデザイン(R)”提案の海外拠点での活用を強化し、ファイン・大豆シートではビタミンK2で健康指向に沿ったブランド展開と販路拡大を進めるとともに、大豆シートで地域や用途の拡大を図る。この結果として、国内油脂事業に依存する事業モデルから脱却するなど事業ポートフォリオの変革を進め、海外の売上構成比を2027年3月期に7%、2031年3月期に15%以上、スペシャリティフードの売上構成比をそれぞれ23%、36%、高付加価値品(国内+海外)の粗利益構成比もそれぞれ57%、71%へと引き上げる。

なお、成長機会に対し積極的な投資を行っていくため、2023年3月期〜2027年3月期の5年間のキャピタルアロケーションも計画している。資金調達面では、営業キャッシュフローで180億円、資産圧縮で50億円、外部資金調達で240〜470億円(D/Eレシオで0.5〜0.7倍目標)、総額で470〜700億円を計画している。一方、運用面では、スマートファクトリー・生産性向上投資、環境投資、維持・更新投資など設備投資で220億円、高付加価値品の継続的開発・市場投入、北米・ASEAN成長戦略、次世代技術、新規事業開発の推進など事業投資で140〜370億円、配当性向40%を目安とした安定的な配当還元で110億円を想定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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