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泉州電業 Research Memo(4):2025年10月期中間期は高採算品の比率低下で前年同期比6.0%の営業減益

2025年06月24日 12:04 銘柄/投資戦略

*12:04JST 泉州電業 Research Memo(4):2025年10月期中間期は高採算品の比率低下で前年同期比6.0%の営業減益 ■業績動向

1. 2025年10月期中間期の業績概要
(1) 損益状況
泉州電業<9824>の2025年10月期中間期の連結業績は、売上高68,982百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益4,798百万円(同6.0%減)、経常利益5,025百万円(同5.7%減)、親会社株主に帰属する中間純利益3,405百万円(同7.3%減)となった。平均銅価格は、1,443千円/t(同9.2%増)であった。

売上総利益率は15.2%(前年同期15.8%)と前年同期比で0.6ポイント低下したが、これは主に製品構成の変化(比較的利益率が高い商品の売上高構成比が下がったこと)による。この結果、売上総利益額は10,467百万円(前年同期比0.1%減)とほぼ前期並みに留まった一方で、販管費は人件費を中心に同5.6%増と予算どおりに増加したことから、営業利益は同6.0%減となった。

(2) 財務状況
2025年10月期中間期末の資産合計は、前期末比2,565百円減の109,891百万円となった。流動資産は同3,599百万円減の75,842百万円となった。これは主に現金及び預金の増加3,225百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)の減少6,559百万円、商品の増加319百万円による。固定資産は同1,033百万円増の34,048百万円となったが、主に有形固定資産の増加845百万円、無形固定資産の減少(主にのれん)37百万円、投資その他の資産の増加226百万円による。投資その他の資産の増加は、主に投資有価証券の増加333百万円による。

負債合計は前期末比4,361百万円減の52,494百万円となった。流動負債は同4,410百万円減の49,510百万円となったが、これは主に支払手形及び買掛金の減少3,495百万円、未払法人税等の減少655百万円による。固定負債は同48百万円増の2,984百万円となったが、主に退職給付に係る負債の増加30百万円による。純資産合計は、主に中間純利益の計上による利益剰余金の増加363百万円、自己株式の減少(金額の増加)1,510百万円により、同1,795百万円増の57,396百万円となった。

2. 2025年10月期中間期の商品別概況(単体ベース)
商品別の状況(単体ベース)は以下のとおり。

(1) 機器用・通信用電線
取扱商品の中では比較的付加価値が高く、銅価格の変動の影響が少ない商品である。売上高は20,409百万円(前年同期比6.6%減)となり、売上高構成比は31.2%(前年同期は34.8%)へ低下した。半導体製造装置関連や工作機械向けが予想以上に停滞した。また自動車関連向けなども、中間期に発生した生産調整の影響を受けた。比較的利益率の高い商品であることから、売上高構成比が下がったことで、全体の粗利率を押し下げた。

(2) 電力用ケーブル
主に建設用(ビル、工場、病院及び学校などの大型施設など)に使われる電線であるが、競争が激しく通常は利益率は低い。売上高は26,560百万円(前年同期比16.0%増)となった。住宅関連はやや低調だったが、建設関連(特に半導体工場やデータセンター向け)が堅調に推移したことや、銅価格の上昇に伴う価格改定が追いついてきたことも増収に寄与した。

(3) 汎用被覆線
主に電力用より細い電線で、一般住宅などに用いられる。一般建設用は堅調であったが、前年同期に仮需があったことから、その反動もあり売上高は6,086百万円(前年同期比5.5%減)となった。

(4) その他電線
主に中小メーカー向けの銅の芯線の販売であるため、販売価格はほぼ銅価格にスライドする。売上高は3,237百万円(前年同期比3.1%増)となったが、平均銅価格が同9.2%上昇しているため、数量ベースでは低下した。

(5) 非電線
電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はエレクトロニクス関連の部品やワイヤーハーネス関連だが、銅価格の影響は比較的小さく相対的に利益率の高い部門である。半導体関連向けや工作機械向けがやや低調であったが、ワイヤーハーネス関連に回復が見られ、売上高は9,016百万円(前年同期比6.6%増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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