オプティム Research Memo(9):アグリテックやオフィスDX分野への戦略投資が進行中
*13:09JST オプティム Research Memo(9):アグリテックやオフィスDX分野への戦略投資が進行中
■成長戦略・トピックス
1. 中長期の売上成長イメージ:X-Techサービスの成長加速
オプティム<3694>は過去数年間、研究開発に注力し「Optimal Biz」や「OPTiM Cloud IoT OS」をベースとする新サービスを立ち上げることで、様々な業界で成果を挙げている。中長期ではモバイルマネジメントサービス(「Optimal Biz」)を着実に伸ばしつつ、X-Techサービスを大きく成長させ、業績の飛躍的な発展を目指している。X-Techサービスでは「OPTiM Cloud IoT OS」や関連技術を活用した業界特化のキラーサービスを複数展開しており、アグリテック、デジタルコンストラクション、デジタルヘルス、オフィスDX、マーケティングDX、映像管理DXなどが主要な事業領域である。
2. 主要X-Techサービスでの進捗・最新事例
(1) 生成AIをX-Techサービスで積極活用
同社では積極的に生成AI分野への研究開発投資を推進しており、医療DXやオフィスDXなど業界を問わず生成AIを用いたサービスが生まれている。活用事例としては、報告書自動作成カメラアプリ「OPTiM Taglet」や生成AIが実現するカスタマーサクセスサービス「OPTiM Customer Success Portal」、医師・看護師の文章作成業務を生成AIが支援する、オンプレミスLLMを搭載したサービス「OPTiM AI ホスピタル」などがLLMを用いたサービスである。同社は画像、動画、音声などのAIを得意としてきたが、生成AIに関しても技術的なアドバンテージを持ち、専門的な業務に寄与するサービスとして実用化している。注目される事例として、国内初となる、医師・看護師の文章作成業務を生成AIが支援するオンプレミスLLM搭載サービス「OPTiM AI ホスピタル」が、2025年1月に販売開始される。社会医療法人祐愛会織田病院での臨床現場への導入事例では、退院時看護サマリー作成にかかる時間が54.2%削減され、業務効率化が確認された。
(2) アグリテック
農業分野では、ドローンを使った「ピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー」をはじめ、様々な要素技術を開発してきた。「アグリ・コントラクター・サービス」は、これまで開発したハード(ドローンなど)やソフト(AI・IoTによる解析システム等)を活用したサービスであり、ドローン適期防除サービス「ピンポイントタイム散布」など複数のメニューがそろい充実している。2025年3月期は、これらのドローン活用サービスで、全国規模のサービス体制を安定的に稼働させるため、ドローンやパイロットの稼働体制の強化、バックエンドシステムへの積極投資を計画する。同社では、既に1,000名規模のドローンパイロットのネットワークがあり、日々現場への出動が行われている。全国のJA団体との連携強化も進んでおり、本サービスへの期待も高まっている。より効率的に機材や人(パイロット等)を配置できる仕組みを整備することで、今後の本格的な拡大を可能にする。ちなみに、農林水産業分野のAIソリューション市場シェアで1位を獲得している。
同社及び子会社のオプティムアグリ・みちのくが取り組んでいる農業流通DX事業は、国が進める「みどりの食料システム戦略」の「みどりの食料システム法認定制度」において、「環境負荷低減の取組を通じて生産された農林水産物の流通の合理化」を行う事業者として、国内で初めて基盤確立事業実施計画の認定を受けた。この認定により、同社及び子会社のオプティムアグリ・みちのくは、20を超える国の農業関連補助事業の優先採択措置が認められる。
(3) オフィスDX
オフィスDX分野では、AIを活用した契約書管理サービス「OPTiM Contract」、2024年1月からの電子帳簿保存法規制に対応するサービス「OPTiM 電子帳簿保存」が大幅にライセンス数を伸ばしており、今後さらなる飛躍が期待できる。「OPTiM Contract」は契約書の分類・登録、検索や照会・通知、ユーザーファイルの権限管理など、一連の契約書管理業務を効率化でき、これらの機能は令和3年度九州地方発明表彰において「文部科学大臣賞」を受賞した「契約書AI解析・管理システム」に関する特許がベースとなっている。
「OPTiM サスマネ」はSaaS・オンプレミス・ITデバイスを統合管理することで、情報システム部門の負担軽減やコストカットを実現するSaaS管理サービスである。貸与したにもかかわらず使用されていない未稼働のアカウントや退職者のアカウントの発見によるコスト削減や、会社が承認していないSaaSの利用を検知し不正利用防止を支援する。進行期は、新機能として契約書台帳機能、タレントマネジメントシステム「カオナビ」とAPI連携などが開始され、ますます業務負担の軽減が可能なサービスとなっている。
(4) マーケティングDX
「OPTiM Digital Marketing」分野では、2023年4月に、佐賀市のあらゆるサービスを1つのアプリで完結できる「佐賀市公式スーパーアプリ」β版が一般公開された。住民は役所へ行かなくともオンラインで各種行政手続きを行うことができ、ゴミの収集日、地域の情報、 防犯防災などの情報が得られ、行政業務のデジタル化、省人化にも寄与する。同アプリは、提供当初から多くのダウンロードを達成し、佐賀市民に浸透したことで新しいデジタル行政インフラとして認識が広がっている。この取り組みは、2024年7月には「日本DX 大賞2024」における「行政機関・公的機関部門」にて、「優秀賞」を受賞した。日本DX大賞実行委員会より、授賞理由として、「市役所機能をアプリ内に集約するという革新的なアプローチが高く評価された。人口減少が進む中での画期的な取り組みとして、他の自治体への波及効果が期待される(出典:日本デジタルトランスフォーメーション推進協会)」というコメントがあった。同社では、佐賀市でのノウハウを活かして全国の自治体への横展開を開始しており、2024年8月には佐賀県武雄市から受託を受けている。
これらの事例に共通しているのは、蓄積した技術の足し算、掛け算により、新領域の開拓や新機能・新サービスの追加が加速している点だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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