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ビーロット Research Memo(1):経常利益は63億円達成。クマシュー工務店の株式取得へ

2025年01月17日 13:01 銘柄/投資戦略

*13:01JST ビーロット Research Memo(1):経常利益は63億円達成。クマシュー工務店の株式取得へ ■要約

ビーロット<3452>は、現 代表取締役会長の宮内誠(みやうちまこと)氏・取締役社長の望月雅博(もちづきまさひろ)氏をはじめ不動産業界に長く従事してきたプロ集団が2008年に設立した「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を中心とする不動産金融コンサルティング会社である。設立当初は不動産仲介及び賃貸管理が主であったが、不動産再生の分野で取引実績を着実に重ね、資金調達力が強化されるにつれて不動産投資・開発の割合を増やしてきた。設立6年2ヶ月となる2014年12月には早くも上場(東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場)を果たし、2015年にアセットマネジメント会社とシンガポール現地法人を設立、2016年に関西の不動産会社を連結子会社化して関西圏に本格進出した。2024年11月には(株)クマシュー工務店の株式取得(子会社化)を決議した。設立10年となる2018年2月に東証1部への市場変更を果たし、その信用力と知名度の向上により情報量や顧客数、金融機関との良好な取引関係が拡充している。なお、2022年4月の東証市場区分再編に伴いプライム市場へ移行したが、2023年10月にスタンダード市場への選択申請を決議した。

1. 2024年12月期第3四半期の業績概要
2024年12月期第3四半期の連結業績は、売上高で前年同期比42.5%増の27,671百万円、営業利益で同55.1%増の6,627百万円、経常利益で同61.5%増の6,300百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同65.5%増の4,448百万円と、大幅な増収増益となった。各利益では通期予想を第3四半期の段階で超えて推移する。セグメント別では、増益への寄与が大きかったのは不動産投資開発事業の売却益(主にフロー)だったが、安定収益(不動産コンサルティング事業、不動産マネジメント事業)も前期比15.9%増の4,942百万円と着実に拡大している。主力の不動産投資開発事業では、売却件数では39件(前年同期35件)に増加し、富裕層向けに住宅系が順調に業績を伸ばしたのに加え、コロナ禍以前より保有していたホテル2件の引渡も大きく業績に寄与した。不動産コンサルティング事業では、売買仲介及びコンサルティング受託案件が、前年同期比3件増の57件、新築分譲マンションの販売受託が、同142戸増の838戸引き渡し完了、といずれも順調である。不動産マネジメント事業では、不動産管理運営受託件数は同4件増の158件となった。アセットマネジメントでは、一部出資をしている「日本コールドチェーン1号合同会社」の冷凍冷蔵倉庫開発プロジェクトなどのアセットマネジメントフィーが貢献した。

2. 今後の見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比28.0%増の31,100百万円、営業利益で同9.1%増の6,000百万円、経常利益で同13.2%増の5,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同15.8%増の3,820百万円と期初予想から上方修正を行った。2024年第4四半期は、不動産投資開発事業の販売用不動産の仕入・取得活動に注力し、また大型M&Aの関連費用、販売用不動産に一部評価損が計上されたが、前期を上回り創業以来の過去最高益を見込んでいる。将来の業績を想定するうえで、不動産の獲得状況がポイントとなる。販売用不動産(仕掛販売用不動産含む)は、2023年12月期末で35,477百万円、2024年12月期3Q末で27,888百万円と十分あり、上記記載のとおり4Q単独では仕入に注力していることから更なる販売用不動産等の積上げとその賃料収入が期待できる。

3. 成長戦略・トピック
同社は、2024年11月に、クマシュー工務店の株式を取得し、子会社化すること及び当該株式取得に必要な資金の借入れについて決議した。クマシュー工務店は、2005年に創業した中堅の不動産再生会社である。主に、限られた資源である土地を有効活用するため、収益性の低い物件の市場流通性を高め、再開発を促進する事業を行っている。これまでの同社(ビーロット)は富裕層が選ぶ優良物件を得意としており、一方でクマシュー工務店が得意とする瑕疵物件、低収益物件などは手掛けてこなかったことから、クマシュー工務店のグループ化により、不動産サプライチェーン上流における物件情報の源泉に近づくことで、下流における商品開発機会を増やすことが可能となる。クマシュー工務店の純資産は8,499百万円(2024年2月期)、総資産33,485百万円(同)となっており、販売を目的とした不動産を多く保有する。売上高13,435百万円(同、前期比45.3%増)、経常利益1,886百万円(同、前期比70.1%増)と売上規模や成長性と収益性において優良である。取得価額は87.7億円を予定しており、2025年1月17日に株式譲渡(100%)が行われる。シンジケートローンによる資金の借入額は65億円の予定である。クマシュー工務店の連結子会社化による連結業績への取込みは2025年12月期第2四半期からとなる。

4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、業績に応じた利益還元を基本とし「将来の事業展開」と「財務体質の強化」を勘案して総合的に決定する。2023年12月期は、好調な業績を背景に、1株当たり配当金が年51.00円(前期比31.00円増)と大幅増配となり、配当性向は29.8%となった。2024年12月期の配当予想は、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比15.8%増を見込んでいることから、1株当たり61円(10円増配)の配当を予定し、毎期の着実成長がうかがえる。

■Key Points
・2024年12月期第3四半期は自己資本比率は33%に上昇し財務の安全性がさらに向上。現預金が165億円あり投資余力十分。4Qは販売用不動産の積み上げが予想される
・2024年12月期は過去最高となる経常利益5,600百万円を予想。配当は10円増配の1株あたり61円の見込み・クマシュー工務店(総資産335億円)の株式取得(子会社化)へ。中期経営計画の施策が順調に進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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