ビーロット Research Memo(8):土地活用・不動産再生を得意とするクマシュー工務店の株式取得へ
*13:08JST ビーロット Research Memo(8):土地活用・不動産再生を得意とするクマシュー工務店の株式取得へ
■成長戦略・トピックス
1. 土地活用・不動産再生を得意とするクマシュー工務店(総資産335億円)の株式取得(子会社化)へ
ビーロット<3452>は、2024年11月に、クマシュー工務店の株式を取得し、子会社化すること及び当該株式取得に必要な資金の借入れについて決議した。
クマシュー工務店は、2005年に創業した中堅の不動産再生会社である。主に、限られた資源である土地を有効活用するため、収益性の低い物件(借地権付の底地や老朽化した賃貸アパート、マンション等)の市場流通性を高め、再開発を促進する事業を行っており、それらを通じて地域の活性化と環境改善に貢献している。大阪に本社があるが、早くから名古屋及び東京に支店を展開し、長年の実績により、関東圏・関西圏・中部圏において優良な仕入ネットワークを築いている。国内建築物の老朽化は進んでおり、国土交通省によれば築40年以上のマンションストック数は2013年時点の41.5万戸から、2023年には136.9万戸まで増加し、10年後の2033年には274.3万戸に達すると予測されている。クマシュー工務店の不動産再生事業は供給市場の流動性を高める強みを持っており、近年、不動産証券化・小口化商品等で需要サイドの流動性が急速に高まる中、供給サイドを増やしていく解決の切り札と期待される。これまでの同社(ビーロット)は富裕層が選ぶ優良物件を得意としており、一方でクマシュー工務店が得意とする瑕疵物件、低収益物件などは手掛けてこなかったことから、クマシュー工務店のグループ化により、不動産サプライチェーン上流における物件情報の源泉に近づくことで、下流における商品開発機会を増やすことが可能となる。
クマシュー工務店の純資産は8,499百万円(2024年2月期)、総資産33,485百万円(同)となっており、販売可能な不動産を多く保有する。売上高13,435百万円(同、前期比45.3%増)、経常利益1,886百万円(同、前期比70.1%増)と売上規模や成長性と収益性において優良である。取得価額は87.7億円を予定しており、2025年1月17日に株式譲渡(100%)が行われる。シンジケートローンによる資金の借入額は65億円の予定である。クマシュー工務店の連結子会社化による連結業績への取込みは2025年12月期第2四半期からとなる。
2. 中期経営計画(2024~2026年)が進行中
2024年12月期を初年度とし、2026年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画が進行中である。“100年続く企業グループ”を目指し、安定した利益構造へのシフトに取り組む計画である。安定した利益構造へのシフトの指標として固定資産を毎期20億円程度積み上げ、強固な経営基盤の指標として自己資本比率30%以上を加えた。弊社では、今後クマシュ―工務店とのシナジーや業績を取り込んだ中期経営計画がアップデートされるとみている。
3. 中期経営計画のアクションプラン、「(1) 優秀な人材の確保と育成」が順調に進捗
具体的なアクションプランとしては、(1) 優秀な人材の確保と育成、(2) ネットワーク・アライアンスの深耕と拡張、(3) 資金調達手法の多様化、(4) DXの推進と加速、(5) 新たな収益モデルの構築、(6) コーポレートガバナンス・リスク管理体制の強化、の6点を掲げている。これまで成功してきた人材育成や安定収益の拡大などを引き継ぎつつ、さらに筋肉質な経営基盤を目指し、変革を継続する考えだ。
「(1) 優秀な人材の確保と育成」では、個人の特殊能力を活かし組織に貢献する専門職・スペシャリストコースや、チームマネジメントで組織成長に貢献する経営陣・マネージャーコースなど、キャリアアップのコースを選択できる体制を構築する。また、営業職については、成果主義による待遇向上を通じて取扱単価とサービスの質のレベルアップを目指す。進行期は上半期で総額1億円を超えるベースアップを行い報酬も充実させている。2024年12月期は上半期に13名が入社(新卒含む)、2025年の新卒も10名程度が内定しており、人材の確保は順調である。同社のユニークな取組みとしては、異業種からの転職も奨励しており、エステティシャン、ベーカリー、タクシー運転手などからの転職実績がある。年5回以上行うチーム研修には同社役員も参加し、主要な顧客である富裕層の思考を学ぶプログラムなどが充実する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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