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タイミー Research Memo(7):スキマバイト市場でNo.1を維持し新規事業への投資で非連続成長を生み出す戦略

2025年01月22日 14:07 銘柄/投資戦略

*14:07JST タイミー Research Memo(7):スキマバイト市場でNo.1を維持し新規事業への投資で非連続成長を生み出す戦略 ■成長戦略

タイミー<215A>は、2025年10月期の戦略方針として、AA数、AA当たり流通総額、稼働率を向上させ、スキマバイト市場で圧倒的なNo.1を維持することに加え、新規事業で非連続成長を生み出すことを掲げている。

(1) AA数
AA数に関しては、地方自治体や地方銀行、商工会議所、商圏等との連携を強化しエリアを拡大している。大阪府や石川県などの都道府県単位での連携もあれば、仙台市や宇都宮市などの市町村単位の連携もあり、深刻な人手不足に悩む組織に対して営業を行うことで効率的に認知度を高め利用拡大を図る。主要3業界(物流、小売、飲食)に加え、ホテル、介護業界におけるクライアント事業者数の増加が著しく、特にホテル業界は次の柱に育ちつつある。ホテル業界の流通総額の年成長率は83.2%であり、主にレストランスタッフやバックヤード業務、ベッドメイキングで利用増加が見込まれる。介護業界は同325.8%であり、有資格者でなくてもできる業務(清掃、事務等)に加え、有資格者限定の求人も増加することが予想される。

(2) AA当たり流通総額
同社は、クライアントの現場に入り込み、業界特有の課題を明確にし、解決策を提案することで募集人数を増加させる取り組みを行っており、2025年10月期もこの戦略を着実に実践する。営業担当者(2024年10月で608名)のほとんどが、コンサルティング営業を行う人員である。また、同社ではクライアントが求めるスキルを満たすワーカーの確保を目的にバッジ機能の利用を促進している。バッジ機能は、蓄積されたデータを活用してワーカーのスキルを可視化したもので、クライアントとしてはバッジ保持者限定の求人掲載により、マッチングの精度が向上するメリットがある。また、同社では1日単位のスキマバイトに加え、複数日応募などの短期雇用(1ヶ月以内)など周辺領域への進出を強化する。この領域は、派遣会社や求人サイトがメインプレーヤーとなっており大きな市場機会である。

(3) 稼働率
同社では高い稼働率を維持・向上させる施策をこれまでも行っており、2019年10月期から稼働率75%以上を維持し、2023年10月期からは稼働率85%を超えて推移してきた。この推移の背景には、コアワーカーの比率の上昇があり、稼働総数に占めるコアワーカーの割合は2024年10月期で53%に達した。一方で新規ワーカーの獲得、稼働も重要であることから、同社は、マス広告やデジタルマーケティングを通じてタイミーの認知を維持・向上させるほか、初心者でも働きやすい環境の整備、マッチング精度を高めるための重点施策を実践していく。

(4) 新規事業
同社では、2024年春から長期・常勤雇用の正社員の人材紹介サービス「タイミーキャリアプラス」の本格的な営業を開始した。タイミー事業で蓄積されたスキルや勤務実績データを活用し、ワーカーのニーズに沿って紹介できることが同社ならではの強みである。2024年10月期に売上高18百万円まで成長しており、2025年10月期は営業人員の投入と業種拡大により売上拡大を目指す。対象業種としては、高度なスキルを必要としない業種・業務(物流、引っ越し、食品加工、飲食店、小売、オフィスワーク)がメインとなる。

このほかにも新規事業に取り組む基準を設けて次の成長機会に投資を行う方針である。投資分野としては、タイミー事業とのシナジーが期待できる領域に限定する。具体的には、タイミー事業が得意とする業種・業務に加え、開拓浸透率がまだ低い領域における派遣・業務請負、人材紹介、BPRコンサルティング、シフト管理、福利厚生などが対象となる。また、長期的には海外展開やフィンテック分野などにも展開する可能性がある。基本的な考えとしては、投資資金は手元資金または銀行借入調達とし、エクイティ調達は財務健全性改善や投資資本を上回るリターンが期待できる場合に限定し、投資採算・回収期間を踏まえた規律のある投資を行う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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