新興市場見通し:投資家心理の悪化でグロース市場250指数は正念場
*14:28JST 新興市場見通し:投資家心理の悪化でグロース市場250指数は正念場
■週間ベースでは今年最大の下落率
今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-4.18%だったのに対して、グロース市場指数は-3.57%、グロース市場250指数は-3.89%。トランプ関税や対中半導体規制強化などを嫌気してプライム市場の大型株が売り優勢となるなか、投資家心理悪化を背景に新興市場も弱い動きとなった。日経平均が前営業日比1100.67円安と今年最大の下げ幅となった2月28日の新興市場の下落率は、対日経平均では小さかったが、週間ベースでは今年最大の下落率となった。
時価総額上位銘柄では、決算発表後、売り圧力が強まっていたGMOフィナンシャルゲート<4051>が昨年来安値に迫る水準まで下落したほか、ジーエヌアイグループ<2160>も売り優勢となった。また、トライアルHD<141A>は上場来安値を更新。一方、宇宙システム実証機の試作に関する大型契約を獲得したと発表したアストロスケールHD<186A>は、ストップ高となるなど買いが集まった。なお、28日グロース市場に上場したTENTIAL<325A>の初値は、公開価格を30.0%上回る2600円となった。
■投資家心理の悪化を受けて大きく振らされるか
来週の新興市場は、今週の下落に対する反発を期待したいところだが、投資家心理は悪化しており戻りは鈍くなりそうだ。28日の米国株は大幅反発となったものの、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の共同記者会見が中止となる異例の首脳会談となったことから、不透明な外部環境への警戒感はより強まっている。本来、外部環境はプライム市場に大きな影響を与え、内需中心の新興市場は軽微な影響にとどまるケースが多いが、投資家心理の悪化を受けて新興市場も大きく振らされよう。
グロース市場250指数は、2月13日に693ポイントをつけた後は調整局面を迎え、今週末、約1カ月ぶりに25日移動平均線(25MA)を下回った。644ポイント水準にある75日移動平均線(75MA)手前で下げ止まりそうな雰囲気はあるが、75日移動平均線や639ポイント水準の200日移動平均線(200MA)を下回ると、今年1月から続いていた短期的な上昇局面は終了となる。売買代金も減少していることで市場のエネルギーも低下傾向にあることから、グロース市場250指数は正念場を迎えたと考える。
来週は、投資家の心理状態悪化で主力株に資金が向かいにくいことから、値動きの軽いバイオ関連や直近IPO銘柄に資金が向かおう。直近IPOのフライヤー<323A>、ブッキングリゾート<324A>の値動きは厳しいが、今週末上場したTENTIALは初値形成後に利益確定売りが強まったが、大引けにかけて盛り返すなど比較的勢いはある。トライアルHDやGMOフィナンシャルゲートの反発を期待したいところだが、地合いの悪さを考慮すると、物色は値動きが軽く勢いのある銘柄に向かおう。
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