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トヨコー:営業利益CAGRで+50%を上回る可能性、株価は高い評価を維持増大も

2025年08月15日 09:48 銘柄/投資戦略

*09:48JST トヨコー:営業利益CAGRで+50%を上回る可能性、株価は高い評価を維持増大も トヨコー<341A>は、老朽化した工場等の屋根を独自工法で塗装・防水工事を行うSOSEI(ソセイ)事業と、老朽化した橋梁・鉄塔など社会インフラのサビを除去する加工装置を製造・販売するCoolLaser(クーレーザー)事業を展開している。祖業でもあるSOSEI事業は安定収益源としての役割を担い、目下は社会インフラ老朽化が社会問題となるなか、成長事業であるCoolLaser事業に経営資源を多く投下してきた経緯がある。足元では同製品の市販モデル上市を受けて収益拡大中であり、社会課題の解決の観点も相まって、動向が注目されている。

1.2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高が前期比84.9%増の2,025百万円となった。営業利益は301百万円であり、経常利益については262百万円、当期純利益は321百万円と黒字転換を果たし、全項目で過去最高となった。SOSEI事業は大型案件を背景に堅調に推移し、CoolLaserは装置販売が本格的に寄与した。CoolLaserの本格開発に着手した2019年3月期以降は赤字が先行し、継続していたが、製品の納品が始まったことで大きく収益化した。また、「G19-6000」シリーズ上市以降は研究開発費が減少したことも、収益性向上に寄与している。

2. 2026年3月期第1四半期の業績概要
2025年8月8日に発表された第1四半期決算は、売上高で前年同期比66.4%増の685百万円、営業利益で同304.0%増の145百万円と高い成長を見込む通期業績予想に対して順調な推移。SOSEIの受注残高が大型案件で微減しつつも(2025年3月期末1,099百万円→2026年3月期1Q末1,002百万円)、CoolLaserが伸び(同611百万円→同716百万円)、全体として微増となった(同1,710百万円→同1,717百万円)。業績の伸びに比した受注残高の伸びの鈍さが株価の下落につながった可能性があるものの、大型案件受注を機に拡大したキャパシティで今後の数字につながるかを確認する時期であるといえる。

3.2026年3月期の業績見通し
2026年3月期通期の業績は、売上高が前期比48.1%増の3,000百万円、営業利益は同92.5%増の580百万円、経常利益は同113.0%増の560百万円、当期純利益は同49.5%増の480百万円と、いずれも過去最高を更新する計画となっている。計画では、今期12台のCoolLaserの納品を想定している。リードタイムは通常6ヶ月程度であり、受注残高6台(2025年3月)の実績があるため、計画達成には残り6台の受注が必要になる。直近のIPOや準推奨技術選定(国土交通省)に関わる報道と広告効果を踏まえると、計画達成の可能性は高いと見られる。

4.中期経営計画の進捗状況
同社は2024年12月9日にCoolLaser事業の「中期経営計画」を発表している。2028年3月期までの各期の下限と上限の納品台数目標を設定しており、2026年3月期は9~15台、2027年3月期は16~29台、2028年3月期は35~65台としている。また、2026年3月期を1期とした時の5期目に当たる2030年3月期において、120台を目標に掲げている。試算される国内市場規模800億円を踏まえると、拡大余地は著しく大きい。または海外展開を見据えている点もアップサイド要素だろう。今後は、生産体制、保守・管理、人員採用、コーポレート・ガバナンスなど、規模拡大に伴う組織運営の強化も併せて確認していきたい。

5.株価
上場間もないこともあり、中期の事業に関するアナウンスは上記のCoolLaser事業の「中期経営計画」のみとなるCoolLaserの120台販売は、利益率が大きく変化しない前提を置くと、営業利益CAGRで+50%を上回る。AI関連に見られるような高いPER評価を保ちながら、高い利益成長に応じた株価の切り上がりが想定でき得るシナリオということになろう。

■Key Points
・SOSEI事業とCoolLaser事業の2本柱
・CoolLaser事業は研究開発から収益化フェーズに入り、業績拡大中
・2026年3月期業績は過去最高益。CoolLaser事業についても上振れ余地あり
・インフラが老朽化するなか、国内外でのニーズは大きく、アップサイドは大きい

<HM>

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