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学情 Research Memo(9):キャリア採用サービスの成長を強化しながら、利益成長の実現を図る(1)

2025年03月03日 14:09 銘柄/投資戦略

*14:09JST 学情 Research Memo(9):キャリア採用サービスの成長を強化しながら、利益成長の実現を図る(1) ■学情<2301>の今後の見通し

2. 中期の成長戦略
中期の成長戦略に関して同社は、当初予定の計画値をほぼ前倒しで達成したことや、マーケット環境が変化していることなどを受け、2023年12月に2026年10月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表した。慢性的な人手不足、学生の売り手市場、求職者のセカンドキャリア形成への意識の高まりなどを受け、キャリア採用に対するニーズが高まるなか、「『20代のセカンドキャリア』を支援するプラットフォーマー」をありたい姿として再定義し、「Re就活」を中心としたキャリア採用サービスに先行投資を重点的に実施することにより業績を拡大する方針だ。具体的には、同社の競合優位性として「働き手を集める力」「人と組織をつなぐ力」「企業・組織を集める力」の3つを定義し、これらの競合優位性をさらに強化するため人的投資、広告宣伝投資、マーケティング投資、システム開発投資、新規事業開発投資を行っていく。投資原資に関しては、毎期の費用に加えて、営業キャッシュ・フロー及び手元資金を活用する方針であり、特に事業拡大/事業開発投資、事業継続投資に関しては3年間で計9,100百万円を投資枠として設けている。これらの成長投資により、キャリア採用サービスで年率30%の売上成長を実現し(2026年10月期のキャリア採用サービス売上高は2023年10月期比119.0%増の7,660百万円を計画)、キャリア採用サービスの売上構成比を2026年10月期に57.6%まで高める計画だ。キャリア採用サービスを業績の柱としながら、2026年10月期に売上高13,300百万円、経常利益3,450百万円の達成を目指す。2025年10月期までに先行投資を重点的に実施したうえで成長加速の土台を整え、2026年10月期からは売上・利益ともに成長が加速することを見込んでいる。また、資本コストを意識した経営も徹底し、ROEに関しては資本コストを上回る水準を維持しながら2026年10月期に15.0%まで高める方針を掲げている。中期経営計画最終年度の業績目標達成に向けて、足元では計画を上回るペースで業績が推移している。ROEは2024年10月期において既に目標の15.0%を上回って着地したほか、キャリア採用サービスの売上高も前期比33.0%増と順調に拡大している。また、2025年10月期の業績に関しても、中期経営計画の業績目標値を上方修正している。市場環境の見通しが良好であること、そうしたなかで「Re就活」ブランドをけん引役に既存事業の順調な成長が期待できること、加えて、「Re就活30」「Re就活テック」のリリースなどによって10代から30代を対象としたプラットフォーマーへと進化していることなどを考慮すると、2026年10月期の目標数値に関しても上回って着地する可能性が十分にあると弊社は見ている。同社が第二創業期と位置付ける2020年10月期から2024年10月期までの業績推移を見てみると、売上高に関しては187%、経常利益に関しては222%と急成長している。現在進行中の中期経営計画のもと、さらなる業績拡大が期待される。

3. 競合優位ごとの成長戦略と投資方針
(1) 働き手を集める力
「Re就活」並びに「Re就活エージェント」などのRe就活シリーズの利用求職者数をさらに拡大することにより、同社の成長基盤をより強固にする。具体的には広告宣伝投資により取引企業数を継続的に拡大し、各メディアの掲載求人件数をさらに増加することに加えて、システム開発投資を行い、20代が使いやすい、20代に支持されるUI・UXにアップグレードすることにより、20代から支持される情報メディアとしての立ち位置を強化する。また、主要ターゲットであるZ世代、ミレニアル世代の仕事観や転職活動における課題を敏感に捉えながら新規サービスを開発・投入することにより、転職活動の新たなスタイルを能動的に発信することにも注力する。

(2) 企業・組織を集める力
利用求職者数の拡大を図ると同時に、Re就活シリーズの利用企業数をさらに拡大する。具体的には、広告出稿時のAI・データ活用をさらに強化し、利用求職者数のさらなる拡大を図ると同時に、マーケティング投資によってカスタマーサクセスの充実を推進し、導入企業の採用成功をより強力に支援する。また、生成AIなどの最新テクノロジーを活用したシステムを開発することにより、採用活動のDXに貢献する構えだ。

(3) 人と組織をつなぐ力
働き手と企業の双方の利用を増やすとともに、社会のトレンドを捉えたサービス提供や、最新テクノロジーを活用したサービスの提供を通して「価値あるマッチング」の実現をさらに促進する。具体的には、システム開発投資を継続して実施することにより、基幹Webメディアのアップグレードに取り組み、利用者ごとに最適化された情報接触体験の提供を推し進める。同時に、生成AIなど最新テクノロジーの活用により、タイパ(タイムパフォーマンス)の良い新たな転職・採用活動体験の提供に注力する。また、ジョブ型雇用が拡大するなかで、新規事業開発投資を積極化し、「Re就活」ブランドを生かしながら、採用需要の増加が見込まれる領域で業界や職種に特化した新規サービスを開発する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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