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ジェーソン Research Memo(5):インフレ逆風下においても、ビジネスモデルの底堅さを堅持

2025年05月22日 13:05 銘柄/投資戦略

*13:05JST ジェーソン Research Memo(5):インフレ逆風下においても、ビジネスモデルの底堅さを堅持 ■ジェーソン<3080>の業績動向

1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は、売上高が前期比1.5%減の28,297百万円、営業利益が同38.5%減の538百万円となった。同社が期初時点で発表した予想(売上高30,000百万円、営業利益990百万円)に対して、売上高、営業利益ともに未達となったうえ、期中で修正した予想(売上高28,300百万円、営業利益620百万円)に対しても、売上高、営業利益ともに下振れて着地した。減収要因は、インフレによる仕入価格の上昇、JV商品の流通量の減少、夏場の物流のひっ迫などによる。インフレによる仕入価格の上昇は、販売価格に転嫁したことで、購入客数の伸び悩みにつながった。JV商品は流通量が減少したことで、JV商品の販売を制約する形となった。メーカーが新商品の発売を抑えるなど、ロス率削減を意識した取り組みの影響が出ているもようである。夏場の物流ひっ迫については、重量のある飲料の販売が伸びたことで、店舗に商品を最適に配送できないことがあった。減益要因は、売上総利益の減少による影響が大半を占める。その他一過性の費用としては、物流のひっ迫の影響で自社以外の倉庫を賃借したことによる費用計上のほか、トラックの老朽化に伴う修繕費用なども利益を圧迫する要因となった。

2. KPIの達成状況
同社では、四半期売上高の伸び率、月次売上高推移、新規出店数、JV商品やPB商品など売上総利益率の相対的に高い商品の販売数などを重視している。四半期売上高、月次売上高ともに前年実績を下回る形で推移し、2022年2月期第3四半期から続いたプラス成長が止まり、通期での苦戦が数値で示された格好である。月次売上高についても前年を上回ったのはわずかしかなく、減収要因として挙げたインフレによる仕入価格の上昇とJV商品の流通量の減少が通期で影響を受けたほか、夏場の下振れは、物流のひっ迫などによって、店舗に最適な商品を配送できなかったことが示された。対応策として、トラックを5台増やし、配送体制を増強したほか、商品の在庫を積み増すために自社以外の倉庫を賃借し、物流体制を強化したことで、2024年11月以降は回復傾向となった。

3. 財務状況と経営指標
2025年2月期末の財務状況は、資産合計は前期末比92百万円増加の10,859百万円となった。主な変動要因は、現金及び預金107百万円の減少と商品及び製品137百万円の減少などによって流動資産が209百万円減少、有形固定資産が建物及び構築物、機械装置及び運搬具などの増加によって273百万円増加、投資その他の資産は30百万円増加した。有形固定資産の増加は物流体制の強化に向けた車両の購入や倉庫の新築によるものである。一方、負債合計は同86百万円減少の4,559百万円となった。純資産合計は同179百万円増加の6,300百万円と着実に増加している。

経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の56.9%から58.0%へと改善し、D/Eレシオは同0.12倍から0.11倍とほぼ横ばいだった。ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)も同3,485百万円から3,408百万円と横ばいだった。同社の財務状況は健全な状態が続いており、大きな設備投資などキャッシュアウトも予定されていないことから、今後についても現金及び預金や純資産の積み上げ、自己資本比率の向上が期待される。

なお、同社の事業特性上、大きな設備投資は必要としないため、フリー・キャッシュ・フローは黒字を維持している。2025年2月期の営業活動によるキャッシュ・フローは589百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは454百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは266百万円の支出、フリー・キャッシュ・フローは135百万円の収入であった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)

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