ダイキアクシス Research Memo(7):2024年12月期は増収増益、過去最高売上を更新。海外事業拡大等が奏功
*12:17JST ダイキアクシス Research Memo(7):2024年12月期は増収増益、過去最高売上を更新。海外事業拡大等が奏功
■ダイキアクシス<4245>の業績動向
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の業績は、売上高が前期比9.7%増の46,818百万円、営業利益が同58.8%増の1,048百万円、経常利益が同36.4%増の1,141百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)が同71.5%増の352百万円と増収増益となり、過去最高売上高を更新した。期初予想に対しても、売上高、利益(当期純利益を除く)ともに上回り、売上高は中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。
売上高では基幹2事業の伸びが増収に寄与した。特に「環境機器関連事業」が海外事業の拡大やストックビジネス(保守・修繕)の積み上げ等により大きく伸長したほか、「住宅機器関連事業」では注力する住機部門工事が好調に推移した。一方、「再生可能エネルギー事業」は大型案件のはく落等によりわずかに減収となった。
利益面では、資材費や輸送費の高騰による影響を受けながらも、価格転嫁や高利益率の大型案件などにより売上総利益率は改善した。また、人的資本強化に向けた成長投資などにより販管費が増加したが、増収効果や売上総利益率の改善によりカバーし大幅な営業増益となった。営業利益率は2.2%(前期は1.5%)に改善した。
財政状態は大型工事の進捗等により流動資産が増加したほか、バイオディーゼル燃料精製プラントやグリーンデータセンターの設立、ベンチャーキャピタル事業における積極的なスタートアップ投資により固定資産も増加したことから、資産合計は前期末比8.2%増の36,849百万円に拡大した。一方、自己資本は剰余金の配当や自己株式の取得により同0.7%減の9,456百万円とわずかに縮小し、自己資本比率は25.7%(前期末は28.0%)に低下した。
キャッシュ・フローの状況については、営業キャッシュ・フローのプラス(3,197百万円)が投資キャッシュ・フローのマイナス(2,024百万円)を上回っており、投資資金は営業キャッシュ・フローの範囲内に収まっている。また、財務キャッシュ・フローもプラス(157百万円)となり、その結果、現金及び預金同等物の残高は前期末比1,327百万円増の7,998百万円に増加した。
主力事業の業績は以下のとおりである。
(1) 環境機器関連事業
売上高は前期比12.6%増の23,649百万円、セグメント利益は同42.5%増の2,029百万円となった。設備投資需要の回復などを追い風として、浄化槽・排水処理システムにおける修繕工事が増加したほか、排水処理を中心とした大型工事の進捗に伴う売上計上が進んだこと、原価上昇分に対する価格転嫁の進展などにより大幅な増収となった。また、注力する海外事業についても、新工場の稼働とともにインド及びスリランカが大きく伸長したほか、インドネシアも大型案件の成約により好調であった。利益面でも増収効果や、資材費及び外注費の高止まりに対する価格転嫁の進展に加え、案件大型化に伴う利益率の良化、ストック収益の積み上げ(メンテナンス契約や地下水飲料化事業等)、海外事業の損失縮小により大幅な増益となった。セグメント利益率は8.6%(前期は6.8%)に大きく改善した。
(2) 住宅機器関連事業
売上高は前期比8.4%増の19,844百万円、セグメント利益は同62.5%増の451百万円となった。大阪、広島エリアにおける新築物件の取扱増により建設関連業者等が伸びた。また、住機部門工事についても空調工事を手掛けるアドアシステムの連結効果(シナジーを含む)や農業温室工事の大型案件獲得、木構造事業の本格化などにより大きく拡大した。利益面でも、仕入価格や輸送費の上昇分の価格転嫁が進んだことや、利益率の高い住機部門工事の伸びなどにより大幅な増益となった。セグメント利益率も2.3%(前期は1.5%)に改善した。
(3) 再生可能エネルギー関連事業
売上高は前期比1.4%減の2,708百万円、セグメント利益は同52.3%減の123百万円となった。売電事業による安定収益に加え、売電事業及び発電施設の販売を手掛けるメデアの連結効果が業績寄与したものの、売上高全体ではわずかな減収に留まった。また、注力するバイオディーゼル燃料については、東日本事業所の稼働の後ずれにより出遅れた。利益面では、バイオディーゼル燃料精製プラント建設などにかかる先行費用に加え、前期の大型高利益案件のはく落により大幅な減益となった。セグメント利益率は4.6%(前期は9.4%)に大きく低下した。
2. 2024年12月期の総括
2024年12月期を総括すると、「再生可能エネルギー関連事業」(特にバイオディーゼル燃料の販路拡大等)が想定よりも出遅れたものの、「環境機器関連事業」が注力する海外事業を軸に大きく拡大したことで過去最高売上高を更新したことは、今後に向けても評価できる。また、利益面でも原価上昇分の価格転嫁や「住宅機器関連事業」の高付加価値化の進捗を確認できた。活動面では、インド政府と進めてきた認証制度が2024年末に整備される(同社が第1号となる予定)など、今後のグローバル展開のカギを握る「インドモデル」の確立に向けて大きく前進した(詳細は後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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