インテリックス Research Memo(9):リノベーションマンションの需要は中期的に堅調推移が見込まれる
*13:09JST インテリックス Research Memo(9):リノベーションマンションの需要は中期的に堅調推移が見込まれる
■インテリックス<8940>の今後の見通し
3. リノベーションマンション市場の中長期見通し
2024年の首都圏におけるマンションの市場動向について見ると、中古マンションの成約件数は前年比3.4%増の37,222件と2年連続で増加した一方で、新築マンションの供給戸数は同14.4%減の23,003件と3年連続で減少し、調査開始以降で最低水準まで落ち込んだ。建築コスト上昇の影響で着工戸数が減少したことや、一部の物件の販売が延期されたことも影響し、特に都区部で同30.5%減の8,275件と大きく落ち込んだ。新築マンションの供給戸数が減少したことや販売価格の上昇もあって、中古マンションの需要が堅調に推移したと見ることもできる。2025年の新築マンション供給戸数については前年比13.0%増の26,000件が見込まれているほか、住宅ローン金利の上昇が想定されるなか、中古マンションの需要についてはやや逆風となる可能性があるが、引き続き首都圏マンション需要の過半を中古マンションで占めることになりそうだ。
中古マンションの市場はストックの積み上がりにより今後も安定した市場が形成され、リノベーションマンションの需要も中期的に見て堅調な推移が予想される。国土交通省の調べによれば、全国のマンションストックは2021年時点で685.9万戸、このうちリノベーションが必要とされる築30年以上の物件は249.1万戸と全体の約36%を占め、20年後の2041年には約2.4倍の588.4万戸に拡大すると予想されている。2022年にマンション建替円滑化法が改正され、一棟建て替えに必要となる要件が緩和※されたことで、老朽化マンションの一棟建て替えが従来よりも増加する可能性はあるが、中古マンション市場は今後も戸別でリノベーションを行い、販売する形態が主流であり続けると弊社では見ている。
※ 従来は建替え要件として、所有者全員の5分の4以上の賛成が必要だったが、改正法では所在不明者を除く4分の3以上の賛成で可能となった。
また、政府方針として脱炭素社会の実現を掲げるなかで、既存住宅の省エネ化促進に向けた施策(住宅ローン減税や補助金等)を今後も継続する可能性は高い。省エネリノベーションマンションの普及拡大を業界に先駆けて取り組み、リノベーション内装工事でも豊富な実績を持つ同社にとっては、省エネリノベーションが今後普及期入りする局面において、先行者メリットを生かして飛躍的に業績を拡大する好機になると弊社では見ている。さらに、ストック型ビジネスとなるFLIE事業が収益化してくれば収益の安定性が増し、持続的な成長を実現する体制が整うことになるだけに今後の動向が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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