早稲アカ Research Memo(1):東進衛星予備校のサービスを2024年春より開始、塾生数のさらなる拡大を目指す
*15:01JST 早稲アカ Research Memo(1):東進衛星予備校のサービスを2024年春より開始、塾生数のさらなる拡大を目指す
■要約
早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」等を直営で展開しており、子会社の(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中高校生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」をそれぞれ運営している。また、米国や英国でも日本人子女を対象に進学塾を各1校運営している。2023年9月末のグループ直営校舎数は185校、期中平均塾生数は4.6万人を超える。
1. 2024年3月期第2四半期累計業績の概要
2024年3月期第2四半期累計(2023年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比7.8%増の15,981百万円、経常利益で同26.8%増の1,406百万円となり、過去最高を更新した。期中平均塾生数は同1.3%増と微増に留まったが、授業料の値上げを実施したこと等により、塾生当たり売上単価が上昇した。利益面では、増収効果に加えてICT活用による業務効率の向上等で原価率の改善が進んだことも増益要因となった。会社計画(売上高16,132百万円、経常利益1,126百万円)比では、第2四半期に入って塾生数が伸び悩んだことで売上高が若干未達となったものの、利益面では人件費の抑制効果や広告宣伝費の一部を下期に先送りしたことが上振れ要因となった。塾生数の伸び悩みについては、小・中・高校生ともに非受験学年が低調だったようで、物価上昇を背景に家計の節約志向が高まったことが少なからず影響したものと考えられる。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.1%増の33,228百万円、経常利益で同10.8%増の2,693百万円と期初計画を据え置いた。期中平均塾生数は同2.9%増を計画しているが、市場環境を考慮するとやや下振れする可能性がある。利益面では下期に広告宣伝費の増加や新規事業の立ち上げ費用等が見込まれるものの、第2四半期まで上振れて推移していることから、期初計画の達成は可能と弊社では見ている。なお、新規事業として大学受験部の塾生数拡大を目的に、ナガセ<9733>が運営する東進衛星予備校ネットワーク・東進中学NETに加盟し、2024年春より4校舎を開校してサービスを開始することを発表した。同社は難関大学向け集団塾を展開しているが売上比率は約3%と小さく、サービス領域を広げることで塾生数と売上規模の一段の拡大を目指す。
3. 中期経営計画の進捗状況
2024年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、業績目標として2026年3月期に売上高353.4億円、経常利益30.0億円を掲げた。経常利益率は2023年3月期の7.9%から2026年3月期に8.5%に引き上げる。重点施策としては、1)標準校舎(小・中学部集団塾)の着実な成長、2)個別指導部門の拡充を加速(2027年3月期に100校体制を確立、難関校受験対策No.1個別指導塾の地位獲得)、3)大学受験部の新領域開拓(新サービス開始により塾生数を2027年3月期に2倍強に拡大)、4)DX戦略強化と差別化の促進(ICT利活用による運営・管理業務の効率化、生徒・保護者向けポータルサイトの機能拡充やビッグデータを活用した成績管理システムの導入による差別化)、5)人材育成の強化、の5点に取り組むことで目標達成を目指していく。特に、DX戦略については業界内でも先行して取り組みが進んでいるようで、競合塾との差別化につながる取り組みとして注目される。なお、株主還元策として配当金のほか株主優待制度を導入している。配当金は連結配当性向で35%以上を目指しており、2024年3月期の1株当たり配当金は40.0円(配当性向45.5%)と前期比16.0円の増配を行う予定だ。株主優待については、1,000円相当のQUOカードとグループ運営サービスで利用可能な5,000円相当の株主優待券を贈呈している(3年以上継続保有でそれぞれ2倍)。株主優待も含めた単元当たりの総投資利回りは6.5%(3年以上継続保有で10.5%)となる※。
※2023年11月10日終値1,528円で算出。
■Key Points
・ICT活用による業務効率の向上で利益率が上昇、業績は半期ベースで過去最高を更新
・2024年3月期業績は期初計画を据え置くも、利益は上振れ余地あり
・中期経営計画は順調な滑り出し、大学受験部、個別指導部門の今後の成長に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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