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平山 Research Memo(9):2025年6月期は海外事業を除く事業セグメントで増収増益。2ケタ増益が続く見通し

2024年10月11日 12:09 銘柄/投資戦略

*12:09JST 平山 Research Memo(9):2025年6月期は海外事業を除く事業セグメントで増収増益。2ケタ増益が続く見通し ■平山ホールディングス<7781>の今後の見通し

1. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比7.7%増の38,000百万円、営業利益で同20.4%増の1,347百万円、経常利益で同14.5%増の1,336百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同12.3%増の850百万円と14期連続増収、各利益段階でも2ケタ増益が続く見通しだ。期の前半は自動車部品や半導体関連の伸びがやや鈍化する可能性もあるが、第3四半期以降は景況感も上向き、主力のインソーシング・派遣事業を中心に収益成長の加速が見込まれる。費用面では、人材の採用並びに育成に係る投資を積極的に行っていくが、高単価案件の獲得や高収益事業の成長により営業利益率は前期の3.2%から3.5%と上昇傾向が続く見通し。

(1) インソーシング・派遣事業
インソーシング・派遣事業の売上高は、前期比8.8%増の30,775百万円、営業利益は同10.2%増の1,784百万円と増収増益が続く見通し。国内生産へ回帰する半導体・電子部品業界のニーズを取り込むべく、研修センターにてフィールドエンジニア等の人材育成に注力するほか、小売や物流関連など需要が底堅い非製造業分野の取り組みを強化することで、製造派遣を中心に新規顧客の開拓を推進する。

業界別売上見通しについて、製造業分野においては自動車部品や半導体・電子部品が既存顧客との取り引き深耕だけでなく新規顧客を開拓することで成長をけん引する。医療機器・医薬品については微増程度を見込み、その他製造業分野で新規顧客の開拓を進める。FUN to FUNが展開する非製造業分野では、外国人スタッフの採用状況が改善してきたこともあり、機内食関連や小売・ホテル、物流を中心に増収を見込んでいる。外国人スタッフの採用力を強化するため、短期案件の求人サイトの改修を実施し、その効果が出始めている。

人員採用については、新卒採用で615名(前期451名)、中途採用で5,400名(同3,628名)を目標としている。採用力の強化施策としては、採用チャネルの拡大やテレビCM、SNS等を活用した認知度向上に継続的に取り組んでいく。また定着率の向上に向けては、無期雇用をベースに安心、安定した雇用を提供するとともに、キャリア形成やキャリアチェンジにつながる環境・機会を提供することで、働き手から選ばれる企業になることを標榜している。

営業利益率は現場改善による請負業務の収益性改善や、前期に低採算案件の整理を進めたFUN to FUN、一時費用を計上した平山GLの収益性が回復することにより、前期比0.1ポイントの上昇を見込んでいる。今後、景気低迷や自然災害の発生等により国内での生産活動が低迷することがなければ、会社計画は達成可能な水準と弊社では見ている。

(2) 技術者派遣事業
技術者派遣事業の売上高は前期比9.3%増の3,212百万円、営業利益は同2.4%増の128百万円と増収増益が続く見通し。技術者の需要は引き続き旺盛で、人材の採用・育成が順調に進めば、十分に達成可能な水準と見られる。利益率が低下するのは、採用力強化のため、東名阪に加えて新たに福岡に採用拠点を設けるほか本社改修を行うなど採用体制強化のための投資を行うことが要因だ。

売上拡大施策としては、既存技術者を対象に技術研修を強化し、高スキル技術者として育成することで派遣単価のアップを図るほか、新領域の中途採用を強化して、生産技術及びIT・AI分野などで新規顧客の開拓を進める。人員採用数については新卒で115名(前期76名)、中途採用で58名(同49名)を計画している。未経験の若手採用者に関しては教育を行い、ITエンジニアやクラウドエンジニア、インフラエンジニアなど適正な現場への配属を推進する。また、課題となっている定着率の向上については、社内コミュニケーションの活性化を継続するほか、技術者のキャリアの可視化と研修管理、スキルアップを行うことで、高単価案件の業務に配置することで処遇向上を図る。

(3) 海外事業
海外事業の売上高は前期比7.7%減の2,658百万円、営業利益で同53.1%減の38百万円と減収減益を見込んでいる。タイにおける自動車生産が2024年7月も前年同月比16.6%減と低迷が続いており、先行きについても不透明感が強いことから、2024年6月期は利益確保を優先課題とする。2024年6月末の従業員数2,339名と前年同期比で25.7%減となっているが、引き続き高単価案件の維持とローコストオペレーションに取り組む。なお、為替前提レートの4.05円/THBに対して直近は4.3円/THBと円安水準で推移しており、このまま円安水準が続けば業績は上振れする可能性もある。

(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比14.3%増の1,369百万円、営業利益は同47.5%増の441百万円と高成長が続く見通し。引き続き外国人雇用管理サポート事業とコンサルティング事業がけん引する。外国人雇用管理サポート事業では、既述のとおりサンライズ協同組合が2023年12月に「一般監理事業」の許可を取得、外国人受け入れ可能人数枠が拡大し成長に拍車をかける。2025年6月期末の受託目標人数は前期末比30.6%増の1,762名であり、収益もおおむね30%程度の増収増益が予想される。受入先企業に関しては、平山やFUN to FUN、平山ケアサービスなどグループ会社の取引先企業に紹介でき、人材不足が続くなかで今後も高成長が期待される。

一方、コンサルティング事業は、生産拠点の国内回帰による工場立ち上げ支援コンサルティングサービスの引き合いが増加しているほか※、AI、IoT関連企業との協業による高付加価値ソリューションに関するコンサルティング領域の拡大が見込まれている。AI/IoTソリューションは日立などの大手ベンダーと協業しているほか、ベンチャー企業が開発した製品・サービスを顧客企業に提案するケースもある。これらベンチャー企業は製造現場のニーズに精通していないため、同社が仲立ちすることで顧客ニーズに合致した製品・サービスを提供することが可能となる。同社はコンサルティング料のほか、AI/IoTシステムの利用料の一定料率を得る契約を交わしており、売上規模はまだ小さいもののスマートファクトリー化の進展により、将来的に安定収益源として育つ可能性がある。

※ 問い合わせ実績として、2022年が2件、2023年が4件、2024年が8月時点で既に5件入っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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