為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、日米金利差がドル相場を下支え
*14:51JST 為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、日米金利差がドル相場を下支え
【今週の概況】
■日米金利差を意識してドル買い強まる
今週の米ドル・円は強含み。週前半は155円台後半で上げ渋っていたが、11月19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(10月開催分)で多くの参加メンバーが12月利下げは適切ではないと考えていることが判明し、リスク選好的な米ドル買い・円売りが活発となった。日本政府は円安進行を懸念しているものの、米ドル売り・円買いの為替介入がただちに実施される可能性は低いとの見方が広がったことや日本銀行による12月利上げの可能性は大幅に低下したとの見方も、米ドル高円安の進行を促した。20日のニューヨーク外為市場でドル・円は157円89銭まで上昇した。
21日のニューヨーク外為市場でドル・円は156円台後半から156円20銭まで下落する場面があった。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「近い将来の利下げにまだ余地がある」、「インフレの上方リスクはいくらか後退した」と指摘したことを受けて12月の米利下げ確率は上昇。米長期金利は低下し、リスク選好的な米ドル買い・円売りはやや縮小した。米ドル・円は156円48銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:154円42銭-157円89銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、日米金利差がドル相場を下支え
来週の米ドル・円は底堅い値動きを保つ可能性がある。米景気減速への懸念で12月利下げ観測が広がった場合、リスク選好的なドル買い・円売りは抑制される可能性がある。11月20日に発表された米9月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月分から増加したが、失業率は上昇。強弱まちまちの内容だった。また、ウィリアムズ米NY連銀総裁は11月21日、「近い将来の利下げにまだ余地がある」との見方を伝えたことから、12月利下げの確率は上昇した。
ただ、日本銀行による12月利上げの可能性は大幅に低下しており、日本円との比較で安全とされる米ドルの需要がただちに弱まる可能性は低いとみられる。10月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨では、一段の緩和に慎重な参加メンバーが過半数を占めていたことが判明している。また、日本銀行の植田総裁、片山財務相、城内経済財政担当相は19日に都内で会談を行ったが、為替についての具体的な話は出なかったことから、市場参加者の間では外為市場で円買い介入が実施される可能性は低いとの見方が多い。短期間で大幅なドル高円安となったことから、ドルの急反落が一部で警戒されているものの、日米金利差の大幅な縮小は想定されていないため、ドル高円安の基調が短期間で失われる可能性は低いとみられる。
【米・9月小売売上高】(11月25日発表予定)
25日発表の米9月小売売上高は、8月実績の前月比+0.6%を上回れば消費の改善を示す材料になる。一方、小幅な伸びにとどまった場合、景気減速懸念で追加利下げ観測が浮上し、ドル売り要因に。
【米・9月耐久財受注】(26日発表予定)
26日発表の米9月耐久財受注が8月実績(前月比+2.9%)を下回った場合でもただちにドル売り材料にはならないとみられる。ただ、コア資本財の出荷は減っており、9月もこの動きが続いた場合、ドルは伸び悩む可能性がある。
予想レンジ:155円00銭-159円00銭
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