IMV:「振動」領域における総合力で日本と欧州でトップシェア、過去最高の業績を更新中
*12:47JST IMV:「振動」領域における総合力で日本と欧州でトップシェア、過去最高の業績を更新中
IMV<7760>は1957年に設立され、「振動」を核とする環境試験・計測・解析の分野で事業を展開している。東証スタンダード市場に上場しており、企業理念として「Secure the Future(未来を守る)」を掲げ、社会の安全・快適・エコロジーに貢献することを使命としている。事業の中核は、振動に関する機器およびサービスの提供であり、主力製品は振動シミュレーションシステム(DSS:振動試験装置)、テスト&ソリューションサービス(TSS:受託振動試験)、メジャリングシステム(MES:振動・地震計測装置)である。売上構成比はDSSが約7割、TSSが約2割、MESが約1割、海外売上比率は42%に達する。これらの製品群とサービスは、自動車産業で培った技術力と対応力をベースに、航空宇宙・防衛産業など新たな領域への展開にも活かされている。
同社の最大の特徴は、振動試験装置メーカーに留まらず、振動に関する試験・計測を一貫して提供できる総合力にある。特に、日本国内では希少な「テストハウスビジネス(受託試験サービス)」に早期から取り組んでおり、製品販売とサービス提供の両軸による事業モデルを確立している。収益性の高い受託試験で得たキャッシュを自社製品の研究開発へ再投資する好循環を形成しており、持続的成長を支える構造となっている。競合他社が少ない中で、IMVは「日本流」ともいえる丁寧なサービスが評価され、特に欧州市場においてはトップシェアを確保している。現在は米国市場でのシェア拡大に注力しており、東南アジア、台湾、韓国といったアジア圏でのプレゼンス拡大も進めている。
2024年9月期は、売上高15,340百万円(前期比11.7%増)、営業利益1,847百万円(同45.9%増)、当期純利益は1,428百万円(同26.9%増)と、過去最高の業績を記録した。売上の増加は、DSS、TSS、MESの3事業全てで伸長したことによる。中でもTSS部門では、電気自動車、鉄道、宇宙・防衛関連向けの受託試験が好調に推移した。利益面では、資材価格の上昇や人件費の増加があったものの、増収効果および製造原価の低減などにより大幅増益となった。
2025年9月期中間期は、売上高9,525百万円(前年同期比21.2%増)、営業利益1,479百万円(同21.7%増)、中間期純利益1,194百万円(同9.9%増)と好調を維持している。DSSは自動車関連および宇宙・防衛産業向けが牽引し、TSSも引き続き電気自動車や航空宇宙関連向けの振動試験が堅調に推移したことで、増収増益となった。
2025年9月期通期では、売上高16,500百万円(前年比7.6%増)、営業利益1,950百万円(同5.5%増)、当期純利益1,500百万円(同5.0%増)が予想されており、引き続き過去最高を更新する見込みである。
同社は、10年後を見据えた長期ビジョンとして、試験事業では「適正品質で未来を拓くベストパートナー」、計測事業では「人と物のレジリエンスをセンサ技術で共創する」を掲げている。2025年9月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、「振動試験に関する総合コンサルタント」として、顧客が抱えるリソース不足や専門性の課題を補完し、試験条件の設計から実施、評価、認証取得に至るまでの一貫支援を目指している。
振動試験現場のDXを支える「iMV cloud」は、すでに国内大手自動車メーカーで採用されており、EV向けのワンストップソリューションの提供も始まっている。EMC試験では、防衛・航空宇宙分野に対応できる専用棟の設置を進めており、さらにAIサーバー関連の試験ニーズも拡大している。
中計最終年度の2027年9月期には売上高18,000百万円(2024年9月期比17.3%増)、EBITDA3,065百万円(同24.8%増)を目標としている。
株主還元については、2024年9月期より従来の安定配当方針を見直し、利益に連動した方針へと変更した。2024年9月期の年間配当は20円(前期比8円増)、今期は24円を予定しており、配当性向は22.5%から25.1%へと上昇する見込みである。また株価や財務状況を勘案しつつ、臨機応変に自社株買いを実施していく方針である。
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