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ヤマノHD Research Memo(3):積極的なM&Aで領域拡充を目指す(1)

2025年01月22日 16:13 銘柄/投資戦略

*16:13JST ヤマノHD Research Memo(3):積極的なM&Aで領域拡充を目指す(1) ■ヤマノホールディングス<7571>の事業概要

1. 経営環境
国内の人口減少、少子化・高齢化の流れを受け、同社の展開する美容・和装宝飾・DSM・教育・リユース事業の市場自体に大きな自然成長を期待することは難しい反面、一定の需要が確実に見込まれる市場であり、同社の各事業の規模から判断して、今後、市場の占有率を一段と高めていくことは十二分に期待できる。同社は、創業以来「山野愛子」のブランドで蓄積してきた顧客ネットワークをはじめ、果敢なM&Aを遂行する力とその対象企業の事業運営力をグループ内でシナジー効果を出しながら最大化する力が強みで、資産にもなっており、成長していくためのリソースを既に保有していると言ってよいだろう。各事業において、新規出店しても人財の確保が難しい状況下で、M&Aにより後継者がいない同業種の中小企業などを買収してグループ化することは、人財の確保を図るという観点からも重要な施策となる。また、新たな事業をM&Aで取り込み、グループ内の人財を強化することも選択肢の1つだ。同社のM&A戦略は、創業以来M&Aの歴史を有する同社独自の特徴ある成長戦略と位置付けられる。

美容業界においては、美容師に顧客が付いており、美容師の独立意欲が昔から根強い。加えて、研修生などの労働時間が長いなどの業界的課題もあり、人材の確保・定着は難しくなっている。一方で店舗の倒産も多く、インボイス制度の導入に伴いフリーランスの美容師の負担も増加している。今後の職場の環境整備、従業員によるFC化など店舗運営の改善によって従業員のエンゲージメントを向上できれば、円滑な人財確保が可能となろう。また、同社が買収してきたブランドは、それぞれが地域を限定したドミナント展開をしており、それが人財の確保や顧客確保に有利に働くとともに、従業員にとっても異動範囲が限定され、ワークライフバランスが確保しやすい環境にあると言えよう。これは和装店舗についても同様で、ほかにNC(ナショナルチェーン)が進出していない沖縄県では6店舗を出展しており、市場占有率が高い状況にある。和装業界、DSM事業においては、顧客、従業員とも高齢化が進んでいることが大きな課題であり、幅広い顧客層確保に向けた施策が喫緊の課題であろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

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