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旭情報サービス:ネットワークサービスを中心に事業展開、安定的な収益基盤と一気通貫の支援体制が強み

2025年09月08日 10:01 銘柄/投資戦略

*10:01JST 旭情報サービス:ネットワークサービスを中心に事業展開、安定的な収益基盤と一気通貫の支援体制が強み 旭情報サービス<9799>は、独立系の情報サービス企業として幅広いITソリューションを提供している。1962年の設立以来、長年にわたり顧客企業のシステム構築・運用を支援してきた実績を持ち、製造業・通信業を中心に安定的な顧客基盤を築いている。ネットワークサービス、システム開発、システム運用の3つの事業セグメントに分類される。

ネットワークサービスは、企業内外のネットワークインフラの設計・構築から運用・保守までを一気通貫で提供している。近年ではクラウド環境やセキュリティ領域への対応を強化し、企業のDX推進を支援する役割を担っている。システム開発では、幅広い領域のソフトウェア開発を手掛けており、顧客の業務課題を深く理解した上での開発力は、単なる受託開発にとどまらず、長期的なパートナーシップを形成する基盤となっている。システム運用には、ホストコンピュータの維持運用を24時間365日の体制を整えており、高い信頼性が求められる分野での需要を取り込んでいる。開発から運用、保守までをワンストップで提供できる点が同社の大きな特徴といえる。

同社の強みは、第1に長期的な顧客との信頼関係にある。自動車関連などの製造業や通信業向けを中心に各業界の大手企業との取引を長年継続しており、安定した収益基盤を確立している。第2に、幅広いITサービスを一貫して提供することができる体制を有している点が挙げられる。ネットワーク、システム開発、運用に関するトータルサポートは、顧客企業のDX推進における重要なパートナーとしての地位を高めている。加えて、独立系ベンダーであることから特定メーカーの商品・サービスに依存せず、顧客のニーズに応じた柔軟な提案をすることができることも競争優位性につながっている。

2026年3月期第1四半期実績は、売上高が前年同期比5.2%増の3,936百万円、営業利益が同7.8%減の267百万円、経常利益が同5.7%減の283百万円、四半期純利益が同2.5%減の199百万円と、増収減益となった。売上高を事業セグメント別に見ると、ネットワークサービスはDX推進に関連する案件やレガシーシステムの刷新案件などの需要拡大により、同6.6%増の3,298百万円となった。システム開発は一部開発案件の一巡に伴い、同1.5%減の559百万円となった。システム運用は同0.1%減の78百万円と横ばい圏であった。

2026年3月期の通期業績見通しは、売上高が前期比7.1%増の16,950百万円、営業利益が同7.2%増の1,700百万円、経常利益が同7.3%増の1,729百万円、当期純利益が同1.7%増の1,210百万円である。第1四半期はややスロースタートとなったが、同社を取り巻く受注環境は堅調であることから、第2四半期以降の業績拡大が期待される。

同社は中長期的な企業価値向上を見据え、2035年3月期に売上高500億円を達成するという長期経営目標を掲げている。その実現に向け、まずは2028年3月期に売上高19,650百万円、営業利益1,965百万円、ROE12.0%以上と数値目標を設定し、段階的に成長を積み上げていく方針である。長期的な成長を実現するために、既存事業の収益力強化と新規事業の収益基盤確立を同時並行で取り組んでいく。既存事業においては、構造改革を通じた収益性の強化を進めていく。エンジニアリングサービスを軸としたDX分野の拡大を図るとともに、従来型の常駐支援中心のモデルから請負化を推進し、サービスレベルと収益性の両立を目指している。また、限られた経営資源を高成長・高収益が期待できる分野へ集中投下することにより、事業ポートフォリオの最適化を図る。加えて、営業提案力の強化や顧客とのリレーション深化を通じて、安定的かつ拡張性のある顧客基盤を確立し、既存領域における成長余地を広げていく方針である。新規事業においては、特にAIソリューションを活用した新たなビジネスの展開を重視しており、自社ソリューションの開発や新規ビジネスモデルの立ち上げを進めている。こうした取り組みにより、既存サービスに依存しない新たな収益源を確立することを狙う。加えて、M&Aやアライアンスを通じた外部リソースの活用にも積極姿勢を示しており、社内開発に加えて外部パートナーとの連携による事業領域・規模の拡大を加速させていく。

株主還元については、配当と優待を実施している。2026年3月期の年間配当金は1株当たり32.0円、配当性向は41.1%となる見通しである。この水準は中期経営計画で掲げる「配当性向40%以上を維持する」という方針と整合的であり、収益成長とバランスを取りながら株主還元を充実させる姿勢が窺える。加えて、同社は株主優待制度を設けており、保有株数に応じてカタログギフトを贈呈している。1,000株以上で3,000円相当、2,000株以上で7,000円相当、3,000株以上で10,000円相当の商品を選択できる仕組みとなっており、個人投資家層にとって魅力的なインセンティブとなりうる。同社の株主還元施策は安定配当と優待の両面から株主価値向上に寄与しており、今後も業績拡大に伴い、さらなる増配が期待される。

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