為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、中東情勢への警戒続くも9月利下げの可能性高まる
*15:25JST 為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、中東情勢への警戒続くも9月利下げの可能性高まる
【今週の概況】
■中東情勢安定化で安全逃避のドル買い縮小
今週の米ドル・円は下落。6月22日にアメリカによるイラン核施設への攻撃が実行されたことを受けて週明け23日の東京市場で原油先物は上昇し、安全逃避の米ドル買い・円売りが活発となった。同日の欧米市場で一時148円台に上昇したが、日本時間24日午前、トランプ米大統領がイスラエルとイランの停戦合意が成立したと発表したことを受けて、安全逃避的な米ドル買い・円売りは縮小し、同日の欧米市場で144円台半ばまで米ドル安円高に振れる展開となった。さらに、米国の早期利下げ観測も浮上し、26日の欧米市場で一時144円を下回った。
27日のニューヨーク外為市場でドル・円は144円36銭から、144円95銭まで反発した。
この日発表された5月米コアPCE価格指数は市場予想を上回り、長期金利の上昇に伴いドル買いが優勢となった。米通商交渉の進展が改めて期待されたこともドル買い材料となった。米ドル・円は144円69銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:143円75銭-148円03銭。
【来週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、中東情勢への警戒続くも9月利下げの可能性高まる
来週のドル・円は上げ渋りか。イスラエルとイランは停戦で合意したが、イラン側は核開発を進める構えであり、アメリカやイスラエルとの対決姿勢を崩していない。中東情勢が再度悪化する可能性は消えていないため、安全逃避のドル買いが再び強まるケースもあり得る。ただ、米国の利下げ再開時期がやや早まるとの見方も浮上しており、現時点で米ドル買い・円売りが急拡大する可能性は低いとみられる。ボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は直近の講演で、インフレが落ち着けば、労働市場を守るために次回にも利下げを検討したいとの見解を示した。パウエルFRB議長は議会証言で追加利下げに慎重な姿勢を維持しながらも、早期利下げを意識したスタンスで、市場はややハト派的と受け止めている。
7月29-30日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測はやや後退したが、市場参加者の間では9月に利下げが再開されるとの見方が支配的。今後発表される雇用・インフレ関連指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的な米ドル売り・円買いがやや強まる可能性は残されている。
【米・6月ISM製造業景況指数】(7月1日発表予定)
7月1日発表の6月ISM製造業景況指数は48.5と5月実績と同水準となる見込み。ただ、節目の50を明確に下回る見込みであり、市場予想を上回った場合でもドルの買い戻しは限定的となりそうだ。
【米・6月雇用統計】(7月3日発表予定)
7月3日発表の米6月雇用統計で失業率はやや悪化、非農業部門雇用者数は減少が見込まれる。平均時給の上昇率は高止まりとなりそうだが、市場予想と一致した場合、9月利下げの可能性は一段と高まり、ドル売り要因となろう。
予想レンジ:143円00銭-146円00銭
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