ユミルリンク Research Memo(5):コミュニケーション手段の多様化に対応してカバーエリア拡大
*11:05JST ユミルリンク Research Memo(5):コミュニケーション手段の多様化に対応してカバーエリア拡大
■成長戦略
1. 成長イメージ
ユミルリンク<4372>は成長に向けた基本方針として「メッセージングチャネルの拡充とプラットフォーム化により持続的な成長を遂げる」を掲げている。消費者の生活様式の変化やITツール・テクノロジーの進化に伴うコミュニケーション手段の多様化に対応し、選択と集中を図りながら同社のメッセージングプラットフォームのカバーエリア拡大を推進する。
また同社は中長期的目標値を具体的に公表していないが、重点戦略としては人的資本拡充、顧客価値向上に向けたチャネル・サービス・基盤開発、マーケティング強化、業務資本提携を掲げている。人的資本拡充では技術を中心とした増員及び人材育成を推進する。増員計画(連結ベース)は2025年12月期が22名増員、2026年12月期が15名増員としている。顧客価値向上に向けたチャネル・サービス・基盤開発では2025年~2026年に「Cuenote」プラットフォーム開発、サービス用基盤設備への新技術適用、LGWANサービスの拡充などを計画している。マーケティング強化ではリード獲得数増加を図るため2025年~2026年にオンラインマーケティングを強化する。また近年は検索エンジンよりもAIを経由したサイトへの流入が増加しているため、その対策も進める。業務資本提携ではシナジーを生み出せるテクノロジー・サービス企業に対するM&A・アライアンスを積極的に推進する。そして2027年以降にさらなるスケートメリットの創出を目指す。
2. 株主還元策
株主還元については2024年10月16日付で配当方針の変更を発表した。従来は財務体質の強化と事業成長のための投資が必要であると考え、配当を実施していなかったが、業績が堅調に推移していることを鑑み、企業価値向上のための成長投資と内部留保の確保とともに、株主への安定的かつ継続的な利益還元の実現が可能であると判断し、2024年12月期より配当を開始した。そして2025年12月期の配当予想は年間19.0円(期末一括)としている。2024年12月期との比較では創立25周年記念配当37.0円が剥落するため減配の形だが、普通配当ベースでは1.0円増配となる。また予想配当性向は15.2%となる。今後も成長投資、内部留保の充実、株主還元を総合的に勘案し、配当性向15%を目途に継続実施を目指す。
3. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営に関しては具体的なマテリアリティを公表していないが、企業理念に「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す。」を掲げ、事業を通じて社会課題の解決に貢献することを基本方針としている。重点取り組みとしては「Cuenote」シリーズの提供による紙資源や化石燃料等の消費削減、顧客企業の働き方改革への貢献などのほか、女性従業員の比率向上(目標32%)やステークホルダーとの対話などにも取り組んでいる。
4. アナリストの視点
同社の収益構造はストック収益が9割超を占め、ストック収益が安定的かつ継続的に積み上がっていく高利益率のビジネスモデルである。この点を弊社では高く評価している。また企業のデジタルマーケティング投資が拡大基調と同社を取り巻く事業環境は良好であり、メールの高速・大規模配信を可能にした独自の技術力という強みにより同社の市場シェア拡大余地は大きく、さらに新サービス開発やM&A・アライアンスの積極活用等によって高成長の継続が期待される。したがって今後も成長に向けた重点施策の進捗状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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