propetec Research Memo(5):強みはネットワーク、テクノロジー、組織文化
*13:05JST propetec Research Memo(5):強みはネットワーク、テクノロジー、組織文化
■property technologies<5527>の事業概要
4. 同社の強み
同社はリアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化という強みを背景に、独自のビジネスモデルを構築し優位性を発揮している。ネットワークは、同社が全国に17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)を有するほか、多くの仕入・販売実績に加え業界でも数少ない地方都市をカバーするサービス展開により、仲介会社数は6,541社、その拠点数は9,910拠点、そこで働く営業員数は27,561名、取引金融機関は85行と巨大になっている※。しかもこうしたリアルなネットワークは年々拡大し、査定数も継続的に高い伸びを続けているが、これに「KAITRY(カイトリー)」の査定数が加わったことでネットワークの強化に一層弾みがついた。さらに、こうした査定依頼が同社の仕入物件や査定価格などデータ取得の起点にもなっている。
※ 数値は2024年11月末。取引金融機関はホームネットの取引先数。
同社は、リアルなビジネスで構築してきた全国規模のネットワークと成約価格※などのデータベースを生かすため、システムを独自開発するなど長年テクノロジーの強化を進めてきた。その結果、2013年に仲介会社が情報を入手できる仲介会社向け物件公開システム、2018年に案件や仲介会社の情報を一元化した案件管理システム、2019年に物件の進捗状況を見える化した物件管理システム、2020年には現場・同社・仲介会社で情報共有する現場管理システム、受電を効率化する受電対応システム、同社の膨大なデータを活用したAI査定システムを開発・導入した。特に2020年に欧州企業と組んで開発したAI査定システムは、社内外向けに5秒で査定価格を提示できるほか、同社の新人営業員が4~5時間(データベースが揃っていない一般の再販業者は1~2日)かけて行っていた算出を約30分に短縮するなど、業務の効率化と顧客の利便性向上に大きく貢献している。このため、同社はAI査定システムを成長基盤と見なしており、iBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムとして活用している。このように、同社はリアルとテクノロジーを融合したビジネスモデルを展開し、さらなる進化(対象の拡大/新規施策)や深化(効率化/利便性向上)を図っている。このため、買取再販事業のIT基盤拡充、ChatGPT-4の導入、UI/UXの改善、全国拠点営業員との情報連携の強化、マーケティングチャネルの拡充など、テクノロジーを中心に積極的な投資を継続しており、日進月歩のテクノロジーの世界において強みを維持している。
※ 広告などでよく目にする交渉前の売出価格ではなく、交渉後売買契約書に記載された最終価格。どの企業も外部に公表しておらず、非常に希少性が高い。
組織文化も強みである。収益創出の仕組みを組織文化で説明することは難しいが、同社では社員がテクノロジー活用の本質を理解しているため、機械(テクノロジー)と人の分業によって創り出した時間を顧客目線のタスクに充てたり、テクノロジーを生かして高付加価値サービスを開発したりと効率的な働き方をしている。また、不動産取引で一般に必要とされる知識経験をテクノロジーで補完できるため、より柔軟な対応やチーム力、風通しの良い環境、顧客目線の開発、仕入から販売までを担当が受け持つ一貫体制といった組織風土を醸成し、リアルなネットワークとテクノロジーによる強みに実効性をもたらしている。こうした組織風土があるからこそ、新卒や中途社員の早期活躍につながり、仲介会社や工務店などとともに仕入~リノベーション~販売の一貫したプロセスをスムーズに進行でき、ひいては顧客一人ひとりに対してライフスタイルに最適な提案が可能となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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