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ハークスレイ Research Memo:2025年3月期第3四半期は、米高騰の影響受けるも順調に増収・営業増益

2025年02月14日 14:01 銘柄/投資戦略

*14:01JST ハークスレイ Research Memo:2025年3月期第3四半期は、米高騰の影響受けるも順調に増収・営業増益 ハークスレイ<7561>は、「中食(持ち帰り弁当)」「店舗アセット&ソリューション」「物流・食品加工」の3事業を柱に、“食”の事業領域で多角的なM&Aを実行し成長する企業である。

1. 2025年3月期第3四半期の業績概要
2025年3月期第3四半期は、売上高が前年同期比1.1%増の32,858百万円、営業利益が同4.6%増の1,679百万円、経常利益が同2.9%増の1,905百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同5.8%減の1,249百万円と、営業利益及び経常利益で増益基調が続いた。

増収率は見かけ上は低いものの、その要因は物流・食品加工事業での販売手数料の処理方法変更の影響が大きく、その影響(約1,210百万円)を除くと前年同期比3.8%増となる。中食事業(旧 持ち帰り弁当事業)は、ほっかほっか亭の既存店売上高が前年同期比でプラスに推移したことなどにより、売上高は同1.5%増の12,989百万円となった。店舗アセット&ソリューション事業は、不動産売却はなかったものの、テナント入れ替え収入の発生や店舗リース数及び不動産管理テナント数の拡大によるストック収益が順調に伸長し、同4.4%増の9,219百万円となった。物流・食品加工事業は、カミッサリー部門の高稼働や、クレージーソルトナッツなどの菓子ブランドの商品導入店舗数増加などにより好調に推移する。当セグメントの売上高は同2.0%減の12,447百万円だが、販売手数料処理変更の影響を除くと、同約5.0%増の増収となる。

営業利益は、売上総利益で前年同期比3.5%減の10,723百万円となったが、販管費を同4.9%減の9,044百万円と抑制したことにより増益となった。セグメント利益では、テナント入れ替え収入の発生や店舗リース数及び不動産管理テナント数が拡大基調の店舗アセット&ソリューション事業(前年同期比7.6%増)とカミッサリー事業の稼働率向上や定番豆菓子商品等が好調の物流・食品加工事業(同30.8%増)が増益に寄与した。中食事業は、米の高騰を中心とする諸コスト上昇よる利益圧迫により営業損失102百万円(前年同期は237百万円の利益)となった。なお、四半期純利益の減益は税負担の増加が原因であり一過性である。

2025年3月期第3四半期は、中食事業で外部環境の影響(令和の米騒動)の影響を受けたものの、ポートフォリオ経営により収益を増加させ、“稼ぐ力の向上”が確認できる。


2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期は、売上高は前期比4.8%増の49,000百万円(3期連続)、営業利益が同0.6%増の2,450百万円、経常利益が同10.1%増2,850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.4%増の1,800百万円と、4期連続の増益を計画しており期初予想から変更はない。物流・食品加工事業は引き続き好調に推移し、最大の売上高になると予想される。既存取引の拡大と新規取引先の獲得による稼働率の高まりが想定されるため、生産及び管理体制の整備を行うとしている。営業利益に関しては、2024年3月期並みの予想である。前期にあった大型不動産売却の一時的な特需は剥落するものの、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に進めてきた事業構造改革により、相対的に収益性の高い事業へのシフトが進むことで、利益拡大が予想される。営業利益の第3四半期進捗率は68.5%(前期は65.9%)と通期目標に対して順調に推移している。なお、2025年3月期中のM&A(ホソヤコーポレーション)の業績貢献分は現在の予想には反映されていない。


ホソヤコーポレーションの連結子会社化(2024年12月)とのシナジーを生かした食品加工事業の拡大策が進行中
3. M&Aを駆使した成長戦略
同社では、TRNコーポレーション(2008年連結、店舗アセット&ソリューション事業)、稲葉ピーナツ(2022年連結、物流・加工事業)などM&Aを通じて成長を実現してきた。2024年6月には、“食のインテグレーション企業”を標榜する中期経営計画を発表し、その中で成長戦略として、「成長投資による経営基盤の強化(足場固め)」による利益拡大を掲げた。具体的には、物流・加工食品事業を中心に食品製造・冷凍冷蔵食品製造などの事業領域に成長投資178億円(うちM&A120億円)を行い、2028年3月期に当期純利益で25億円(約1.5倍)を目指す。惣菜市場は、少子高齢化、女性の社会進出や共働き、単身世帯の増加などライフスタイルの変化を背景に近年拡大しており、安定成長が見込まれる。ホソヤコーポレー ション(本社:千葉県佐倉市)の連結子会社化(2024年12月)は、成長が見込まれる惣菜市場において確固たるポジションを確立する成長戦略の一環である。製造拠点や販路における具体的なシナジー効果の可能性も見えてきた。関西エリアでのチルド焼売の製造や拡販、ホソヤコーポレー ション佐倉工場での唐揚(ハークスレイグループの主力商品)の製造など具体策の検討が進む。

ホソヤコーポレーションは1907年創業の老舗食品メーカーで、贅沢焼売(国内チルド焼売市場シェア1位)、贅沢餃子(首都圏チルド餃子市場シェア1位)、贅沢春巻を主力とした冷蔵・冷凍食品を開発・製造し、食品スーパー マーケットを中心に自社ブランドやプライベートブランドで販売している。直近の業績は、売上高で7,337百万円(2024年9月期)、営業利益で463百万円(同)であり、近年順調に業績を伸ばしている。なお、2025年3月期第3四半期の決算では、貸借対照表が連結された。


「前年を下回らない増配」が基本方針。2025年3月期は2円増の26円予想(中間13円済、期末13円予想)
4. 株主還元策
同社は、安定的な配当の継続を基本方針とし、将来に向けた成長投資に利益を配分するとともに、株主への利益還元重視の姿勢をより明確にするため、1株当たり当期純利益の伸長に合わせて「前年を下回らない増配を目指す」としている。中期経営目標では最終年度の2028年3月期に年間配当35.0円とする目標を掲げており、毎年2.0円から3.0円前後の増配ペースが期待できる。自己株式の取得については、資本水準や株式市場の環境に加え、ROEや1株当たり当期純利益が伸長する効果を総合的に勘案し、機動的に実施するとしている。2025年3月期は、年間配当26.0円(同2.0円増配、中間期13円済、期末13円予想)、配当性向26.7%を予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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