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アートネイチャ Research Memo(7):増収効果と広告手法の見直しで大幅増益を達成

2026年06月22日 13:07 銘柄/投資戦略

*13:07JST アートネイチャ Research Memo(7):増収効果と広告手法の見直しで大幅増益を達成 ■アートネイチャー<7823>の業績動向

1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高44,600百万円(前期比2.9%増)、営業利益3,219百万円(同47.6%増)、経常利益3,451百万円(同53.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,898百万円(同131.0%増)となった。期初の業績予想に対しては、売上高は3,023百万円未達となったが、営業利益は441百万円上回った。なお、法人税等調整額を▲393百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益の伸び率が相対的に大きくなっている。

日本経済は、原材料価格の高止まりや人手不足の継続、円安進行などの影響を受けつつも、個人消費やインバウンド需要の回復、雇用・所得環境の改善などを背景に、緩やかな回復基調を示した。一方で、米国の関税政策の動向や中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりによるエネルギー価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いた。このような環境下、同社は、中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」の最終年度にあたり、グループの強みを生かして様々な課題に挑戦し、業績や毛髪業界シェアを伸長させるとともに、新領域の事業の獲得に努めた。

この結果、新領域は未獲得となったものの、リピート売上や女性向け既製品売上の堅調な推移に加え、来店顧客数の前期割れを価格改定によってカバーしたことで増収となり、全体の売上高は上場来最高を更新した。営業利益は、DX投資や新工場建設で減価償却費が、給与水準改定で人件費が増加したが、増収効果や広告手法の見直しなどにより計画を上回って大幅増益となり、コロナ禍以前の水準へと戻すことができた。広告手法の見直しは、「反響営業」はそのままに、反響の場を従来のマスメディア偏重から、効果測定しやすく訴求効果が高まっているアフィリエイト広告やWeb広告などデジタルマーケティングの比重を増やして全体のバランスをとった。この結果、新規のターゲット層への訴求効果が高まったようだ。期初予想に対して売上高が未達になったのは、新規獲得の苦戦と新領域事業の未獲得による。

なお、バングラデシュ新工場を2025年12月に稼働した。フィリピン工場との2ヶ国の生産体制によって生産コストの低下とリスク分散が期待される。人員、設備ともに稼働したばかりだが、バングラデシュはもともとウィッグの下請工場が多いためウィッグづくりに慣れていること、生産を熟知するフィリピンの人財が教育に入っており、既に商品の製造を開始したようだ。中期的には、主力工場として原価率低減に寄与する見込みである。

男性向け事業については、デジタルマーケティングで挽回が進んだ新規売上、顧客定着策が奏功したリピート売上がともに増加し、売上高は23,274百万円(前期比0.5%増)、セグメント利益は14,779百万円(同1.2%増)となった。来店顧客数が漸減傾向のなか、特に増毛商品の新規販売がけん引した。女性向け事業については、広告による反響が引き続き弱く新規売上は減収となったが、増毛商品やリピート需要を順調に取り込んだオーダーメイドウィッグでカバーし、売上高は13,522百万円(同7.6%増)、セグメント利益は8,778百万円(同10.1%増)となった。デジタルマーケティングは、強化し始めて間もないうえ女性客の年齢層が比較的高いため、効果がまだ顕在化していないようだ。女性向け既製品事業については、売上高が6,227百万円(同2.5%増)、セグメント利益が5,021百万円(同2.1%増)となった。特に「ジュリア・オージェ」でオーダーメイド品質のパターンメイドが好評で、オーダーメイドウィッグとの共同出店も増え、リピート販売を中心に好調に推移した。その他も店舗数や業容が拡大しており、堅調に推移した。


中期経営計画仕込み期のため増収減益予想

2. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の業績予想について、同社は売上高48,494百万円(前期比8.7%増)、営業利益2,500百万円(同22.3%減)、経常利益2,665百万円(同22.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,214百万円(同36.0%減)と見込んでいる。中期経営計画「アートネイチャー Frontier Plan」初年度で仕込み期となるため、あえて増収減益を予想している。

事業環境は、隣接業界を含めた新規参入企業や同業他社との競合激化などにより引き続き厳しい状況が想定される。こうした環境下、同社は、中期経営計画に沿って顧客基盤や生産基盤などの事業基盤を強化するとともに、「美と健康」に関わる新領域への戦略投資を推進する。メンズでは、通気性の良いウィッグ「ヘア・フォーライフ LX」、増毛ではボリュームや結び目を重視した「クリアマープ 5X」を訴求するほか、デジタルマーケティングの比重を増やして新規顧客の獲得を推進し、安定的かつ持続的に成長できる事業基盤を確立する。レディースでは、猛暑でも通気性がありひんやり感のあるウィッグ「エア ジャスミー」、増毛ではほしい所にほしい分だけボリュームアップできるエクステ「ビューティアップ」を訴求するとともに、足元順調な「ジュリア・オージェ」で、ループ状のストッパーを使用して簡単に装着できる「ループフィット」を展開することで、レディース全体でシェア国内No.1に向けて成長を加速する。そのほかでは、「美と健康」に関わる新領域の事業で25億円程度の売上高を想定した。内容は未公表であるが、売上高予想に織り込んでいるものの、営業利益に対してはニュートラルな前提となっているようだ。この結果、売上高は大幅な増加となるが、事業基盤の強化と新領域への挑戦のための先行投資、ほかにも円安・物価高の影響、人員拡充と処遇改善などもあり、減益予想となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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