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プロディライト Research Memo(6):クラウドPBX市場の成長を取り込み、7期連続増収増益

2025年02月07日 12:06 銘柄/投資戦略

*12:06JST プロディライト Research Memo(6):クラウドPBX市場の成長を取り込み、7期連続増収増益 ■プロディライト<5580>の業績動向

1. 2024年8月期の業績概要
2024年8月期の業績は、売上高2,196百万円(前期比9.4%増)、営業利益190百万円(同47.4%増)、経常利益187百万円(同48.6%増)、当期純利益148百万円(同63.6%増)と、7期連続の増収増益となった。クラウドPBX市場の成長を、ワンストップ・ソリューションや新サービスの開発などによって取り込んだ結果と言える。また、期初予想に対して、売上高で100百万円、営業利益と経常利益で5百万円の未達、当期純利益で21百万円の過達となった。予実差がさほど大きくないことから大きな課題を抱えたとまでは思わないが、同社では若干課題視しており、後述するように対策を講じている。なお、当期純利益が大きく過達になったのは、賃上げ促進税制による税額控除を受けたことが要因である。

日本経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要の回復などもあって、景気は緩やかに回復している。しかしながら、物価高の進行・人手不足などといった課題や金融資本市場の変動などの影響に加え、世界的な地政学リスクの高まり、中国経済の先行き懸念、欧米の高い金利水準に伴う海外景気の下振れが日本経済を下押しするリスクとなっており、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いている。法人向け電話サービスにおいては、クラウドPBX市場は2ケタを超える高い成長率、固定電話と携帯電話を融合するFMC(Fixed Mobile Convergence)市場は1ケタの成長率、0ABJ電話サービス市場(法人利用)は微減と言われており、法人による電話利用の高度化・DX化が進展していることが分かる。特に0ABJ電話サービスなどからの切り替えを背景に、クラウドPBX市場の伸びが突出しているようだ。クラウドPBX市場は今後も、テレワークの推進やフリーアドレス化などのオフィス環境の変化、BCP対策の強化などに対する企業の取り組みを背景に、持続的な成長が見込まれる。

このような環境下、同社は「INNOVERA」を中心に様々なIP電話回線、スマートフォンアプリ、ネット回線、固定端末をワンストップで提供することにより、顧客の電話のDX実現に取り組んだ。また、さらなる収益力の向上を目指し、顧客の利便性を重視したサービスの開発や販売パートナーの強化及び他社との連携強化を推進した。サービス面では、「INNOVERA」の技術拡張を進め、2024年7月には管理画面上で文字入力することで自然な音声ガイダンスの作成と設定がシームレスにできる、AIによる音声合成機能を追加、2023年10月にはオプションサービスとして電話の自動応答後にSMSを送信する「INNOVERA SMS」の提供を開始、2024年3月には新サービスとして(株)エーアイの音声合成技術を「INNOVERA」に活用することにより顧客応対品質の向上と電話業務の効率化を両立した「Telful(テルフル)」の提供を開始した。さらに、ジーニー<6562>の子会社JAPAN AI(株)と業務提携を行い、生成AIサービスを活用した業務効率化のための新技術・新サービスの開発を開始した。

販売面では、幅広い顧客層と強固な販売網を持つ大手販売代理店と新たに販売パートナー契約を締結し、「INNOVERA」の販売網を強化に努めた。また、「INNOVERA」の知名度向上と新たな顧客の創出を目的に、2023年12月に自社主催のイベント「INNOVERA Fes 2023 大感謝祭」を開催した。他社との連携では大塚商会<4768>と協業し、「INNOVERA」とiPadを連携することで受付業務を効率化するソリューション「iPad受付内線パック」を発売した。さらに、パソナ・パナソニックビジネスサービス(株)(現 (株)パソナ日本総務部)との協業により、業務アプリ構築クラウドサービス「kintone」と「INNOVERA」を連携し、電話応対に伴う顧客管理を効率的に行うことができるサービスの提供を開始、(株)ソフツーとはクラウド型電話AIサービス「ミライAI」と「INNOVERA」の連携を開始した。

これらの結果、1回線当たりの利用単価は下がったようだが、クラウドPBX市場が拡大するなか、システム、回線、端末販売の各種サービスが一体となった「電話のワンストップ・ソリューション」及び「INNOVERA SMS」や「Telful」などサービス面の強化が奏功し、新規契約が継続契約につながる正のスパイラルとなって総アカウント数及び総チャネル数がともに安定的に拡大、リカーリング収益が積み上がって売上高を押し上げた。利益面では、各サービスからの総利益が積み上がったが、想定されていたとは言え、代理店営業の強化により大手企業の構成比が上昇したことで売上総利益率は若干ながら低下した。一方で「パートナープログラム」は同社のコスト負担が少ないため販管費率が下がり、営業利益率は2.3ポイント改善し大幅な営業増益につながった。

期初予想に対しては、売上高、営業利益ともに若干の未達となった。システムサービスは計画を上回って推移したが、1回線当たりの利用単価が下回った。これは、「INNOVERA」とは異なり、一般的に利用量が大きいテレマーケティングなどに向けたアウトバウンド架電システムが縮小したこと及び、大手顧客が増えることで端末1台当たりの利用量が減ったことが要因である。ただし、単価の低下は単年度の影響だが、システムの好調は正のスパイラルを通じて翌期以降も収益寄与することが期待される。なお、収益的な振れが大きくなることから、戦略的にアウトバウンド向け案件の比率を小さくしているようだ。単価の低下に対しては、新サービスなどによる単価上昇効果でカバーしていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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