シーラHD Research Memo(6):旧 クミカの2025年5月期は、特別損失計上により最終赤字
*13:06JST シーラHD Research Memo(6):旧 クミカの2025年5月期は、特別損失計上により最終赤字
■業績動向
● 2025年5月期業績の概要
シーラホールディングス<8887>の2025年5月期の業績(旧 クミカの非連結業績)は売上高が前期比13.7%増の5,419百万円、営業利益が同32.0%減の200百万円、EBITDA(営業利益+減価償却費)が同71.2%減の227百万円、経常利益が同26.4%減の222百万円、当期純利益が657百万円の損失(前期は212百万円)となった。売上面は建築事業や不動産販売事業がけん引して増収だが、営業利益・EBITDA・経常利益は人件費や建築資材の高騰の影響で減益となり、当期純利益は特別損失計上(千葉県習志野市におけるマンション開発プロジェクト中止に伴う開発用不動産の減損損失437百万円、経営統合に伴う株式交換関連費用107百万円、非連結子会社である台湾・莉斐股フン有限公司の事業休止に伴う債権放棄損226百万円、本社移転費用22百万円)により赤字となった。
財務面では、2025年5月期末時点の総資産は前期末比1,591百万円増加して16,748百万円、負債合計は同1,778百万円増加して5,682百万円、純資産合計は同186百万円減少して11,066百万円、自己資本比率は同8.1ポイント低下して66.1%となった。資産では主に現金及び預金が同2,147百万円増加、棚卸資産が同380百万円増加、負債では有利子負債が同1,412百万円増加した。なお、経営統合後の2025年6月1日時点での連結ベースの総資産は580~620億円、現金及び預金は103.6億円、純資産は180~210億円となった。監査法人等の関係者と不動産の時価評価等を精査中であり、最終数値の確定は2025年9月以降を予定している。
■今後の見通し
経営統合初年度の2026年5月期は、大幅増収増益を予想
● 2026年5月期連結業績予想の概要
2026年5月期の連結業績(株式交換による経営統合に伴い連結決算へ移行)※予想は売上高が34,500百万円、営業利益が2,413百万円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)が2,639百万円、経常利益が1,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が868百万円としている。経営統合初年度で、前期の旧 クミカの非連結業績との比較で大幅増収増益の形となる。売上高の内訳(2026年5月期よりセグメント区分変更)は、総合不動産事業が30,300百万円、不動産管理事業が2,700百万円、建設事業が100百万円、再生可能エネルギー事業が1,400百万円としている。経営統合により、中核事業である総合不動産事業(フロー収益)と不動産管理事業(ストック収益)を拡大し、建設事業と再生可能エネルギー事業の利益率向上も目指す。主要経営指標としてROAは1.4~1.5%、ROEは4.1~4.8%となる見込みだ。
※ 本株式交換は「企業結合に関する会計基準」における「逆取得」の会計処理を適用することとなるため、2026年5月期の業績予測については、シーラテクノロジーズを取得企業とする連結決算数値となる。
事業環境については、建築費の高騰や金利の上昇傾向に注視が必要である。しかし、同社は新規プロジェクトの検討段階で建築費や工期のトレンドを考慮した投資判断を実施している。また、金利についても従前から償還期限の長期化や金利の固定化を進めており、いずれも当面の業績への影響は小さいと見込んでいる。
事業別の重点施策として、総合不動産事業では、市況変動や需要動向を的確に捉え、立地・建物スペック・サービスの競争力強化を図ることで賃料や収益性の最大化を追求する。また、ポートフォリオ全体のリスク分散と収益性バランスを重視し、資産の適正活用と見直しを継続的に実施する。不動産管理事業では、首都圏を中心に賃貸マンションの平均募集家賃が上昇傾向にあり、賃貸需要が高水準に推移することが見込まれる。BlackRockの私募ファンドから複数物件の賃貸管理やビル管理業務を受託しており、さらなる管理物件の拡大を図る。建設事業では商品性の向上や収益性の最大化を目指し、設計・仕様の見直しなどを推進する。また市況変動に柔軟に対応しつつ、品質と収益性の両立を図る建設体制の構築に取り組む。再生可能エネルギー事業では、地方の遊休地を活用し、太陽光+蓄電池による完全自立型電力インフラを活用した次世代酪農モデルやオンサイトPPAを推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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