propetec Research Memo(1):厳選仕入、プレミアムマンション買取再販などの施策が奏功
*13:01JST propetec Research Memo(1):厳選仕入、プレミアムマンション買取再販などの施策が奏功
■要約
1. 取引データやAIなどテクノロジーを生かして中古マンション買取再販を展開
property technologies<5527>は中古住宅再生事業と戸建住宅事業を展開しており、中古住宅再生事業では、中古マンションを買い取ってリノベーションにより価値を高めたうえで再販するマンション買取再販事業を行っている。戸建住宅事業では、新築戸建住宅を扱っており、特に注文住宅の請負建築を行っている。同社は蓄積してきた取引データやAIなどのテクノロジーを活用し、中古住宅再生事業を効率的に展開しているほか、日本最大級の不動産買取ポータルサイト「KAITRY(カイトリー)」を運営するiBuyerビジネスや、不動産業務を効率化する業務支援SaaSサービスなどシナジーのある事業も展開している。このように「リアル(住まい)×テクノロジー」を通じて、「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができるサステナブルな未来の創造を目指している。
2. 強みはリアルなネットワーク、豊富なデータとAIテクノロジーによる仕組み、組織文化
同社の強みは、リアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化にある。全国17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)のほか、仲介会社や金融機関などとのリアルなネットワークを通じて収集した取引データは膨大で、査定価格の起点になるとともに様々なシステムの開発にもつながっている。なかでもAI査定システムは、社内外向けに5秒で査定価格を提示できるなど非常にスピーディーで競争力が強く、成長が期待されるiBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムとなっている。組織文化も強みで、社員がテクノロジー活用の本質を理解しているため、テクノロジーによって創り出した時間を顧客目線のタスクに充てたり、テクノロジーによる高付加価値サービスを開発したりするなど、効率的な働き方につながっている。
3. 2025年11月期上期は長期在庫の販売を加速するため収益性低下も、下期は大きく改善へ
2024年11月期の業績は、売上高41,612百万円(前期比12.6%増)、営業利益1,362百万円(同2.8%増)となった。再開発物件の売上高が前期より減少しながらも売上高・利益ともに期初予想を超過達成したこと、スタンダードマンションの厳選仕入や長期在庫の販売加速、高額なプレミアムマンション※買取再販の立ち上げなどの施策が機能したことから、中期経営計画初年度として順調なスタートを切ったといえる。2025年11月期の業績について、同社は売上高46,000百万円(前期比10.5%増)、営業利益1,640百万円(同20.4%増)を見込んでいる。2025年11月期上期は一次取得者向けスタンダードマンションの長期在庫の販売加速で収益性が低下するが、下期は厳選仕入やプレミアムマンションの効果がより強く現れるため収益性が大きく改善することが見込まれる。
※ 同社は2024年11月期より新たに取扱い開始した都心高級マンション(中古区分)を既存商品(一次取得者向中古区分マンション)と区別するため「プレミアムマンション」と呼び、既存商品を「スタンダードマンション」と呼ぶことにしている。
4. 厳選仕入やプレミアムマンション買取再販などの施策をテコに成長回帰、中期経営計画達成へ
同社は中期経営計画「VISION2026」を策定し、そのなかでビジネスの質にこだわった成長と新たな顧客サービスを展開する素地の獲得を目指している。そのための成長戦略として仕入の質的向上、販売の質的向上、コアコンピタンス強化を掲げているが、中期経営計画初年度である2024年11月期に“リアル”では厳選仕入や取扱商品の拡大(プレミアムマンション買取再販の開始)を、“テック”ではPropTech-Labの設立やKAITRY financeの導入先及び用途の拡大といったビジネス基盤の強化に具体的な進捗があった。これにより成長軌道に回帰し、2026年11月期に営業利益28億円などの目標達成を目指す。さらに2030年に向けて、情報を軸とした協業に基づく新たなビジネスモデルを実現するとともに、「KAITRY」の定着によって精度と透明性の高い価格査定を確立し、より安心で簡便な不動産取引を実現する考えである。
■Key Points
・「リアル(住まい)×テクノロジー」を通じて中古マンションの買取再販事業を展開
・リアルなネットワーク、豊富なデータとAIテクノロジーによる仕組み、組織文化が強み
・中期経営計画初年度は“リアル”“テック”ともに基盤強化に関する具体的な進捗があった
・2025年11月期に成長回帰、2026年11月期には営業利益28億円など中期経営計画目標値を達成へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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