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アイリック Research Memo(3):保険販売事業、ソリューション事業及びシステム事業を展開(1)

2024年10月17日 15:03 銘柄/投資戦略

*15:03JST アイリック Research Memo(3):保険販売事業、ソリューション事業及びシステム事業を展開(1) ■アイリックコーポレーション<7325>の事業概要

1. セグメント区分
同社は保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開し、セグメント区分を保険販売事業、ソリューション事業及びシステム事業としている。保険販売事業は、「保険IQシステム」を活用した日本初の来店型保険ショップ「保険クリニック」の直営店運営及び法人営業を展開している。ソリューション事業は、保険代理店・銀行・保険会社向け「ASシステム」や「AS-BOX」の開発・販売(AS部門)、及び「保険クリニック」のFC事業(FC部門)を展開している。システム事業は、インフォディオが「スマートOCR」の開発・販売などを展開している。

「保険クリニック」は「保険IQシステム」を活用して最良の顧客サービスを提供している。「保険IQシステム」とは、生命保険の保障内容などを図示したシートにまとめることで、保険商品の検索・絞り込み・比較を可能にした自社開発のシステムである。「カンタンすぎる」「わかりやすすぎる」保険選びを追求している。また、スタッフの提案力、取扱商品の充実度、契約手続き、アフターフォローなどで高い評価を得ており、「保険IQシステム」を活用した同社の強み・競合優位性を示している。

なお「保険クリニック」は2023年1月に、福利厚生サービス大手の「Perk」(運営元:ウォンテッドリー<3991>)、「WELBOX」(同:(株)イーウェル)、「福利厚生俱楽部」(同:(株)リロクラブ)、「ライフサポートクラブ(現 ライフサポート俱楽部)」(同:リソルライフサポート(株))との提携を開始した。以前より提携中の「ベネフィット・ステーション」(同:(株)ベネフィット・ワン)と合わせて、延べ約2,790万人以上に特典付きで「保険クリニック」を利用できる仕組みを整えた。また(一社)生命保険協会が2022年4月より開始した「業務品質評価運営」において、「乗合代理店業務品質調査」の基本項目をすべて達成する代理店として2023年2月に認定された。

2. 保険販売事業
保険販売事業は「保険クリニック」直営店部門と法人営業部門・RM部門で構成されている。収益の柱はいずれも、代理店業務委託契約を締結している保険会社の保険商品販売に伴って、当該保険会社から得られる「保険手数料」収入である。「保険IQシステム」を活用した独自のサービスで、高い契約継続率と顧客満足度を獲得している。法人営業部門は法人及び富裕層をサポートすべく、保険の有効活用に関する提案や保険販売等を行う訪問型営業を展開している。2023年10月には、新潟県を中心に13店舗の保険ショップと全国12支社の訪問販売型チャネルを有するLAが子会社に加わった。また2024年8月には(株)人生設計より来店型保険ショップ6店舗を譲り受け、「保険クリニック」直営店として運営している。

なおアライアンスを活用した関連サービスとして、2022年6月に、未来創造弁護士法人と「保険クリニック」契約者向け無料法律相談サービス「ミラリーガル」を、mederi(株)と「保険クリニック」の生活応援アプリ会員限定でオンラインピル診療サービス「mederi Pill」を提供するサービスをそれぞれ開始した。2024年1月には(株)MFSと提携し、同年2月より「保険クリニック」直営店において住宅ローン比較サービス「モゲチェック」のサービス案内を開始した。同年7月にはエスクリ<2196>と業務提携し、挙式を控えたカップル向けのライフプランサービスの提供を開始した。このほか、同年1月にはアイザワ証券(株)と金融商品仲介業に関する業務委託契約を締結し、「保険クリニック」直営店の一部店舗において投資信託等の金融商品を提供できるようになった。

3. ソリューション事業
ソリューション事業は、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして「AS」シリーズを開発・販売するAS部門と、「保険クリニック」をFC展開するFC部門で構成されている。

AS部門は、保険代理店・銀行・保険会社等に対して「ASシステム」「AS-BOX」を提供している。「ASシステム」は生命保険の現状把握・検索提案システムで、「保険IQシステム」を汎用化したシステムである。「AS-BOX」は保険申込ナビゲーションシステムで、「保険IQシステム」または「ASシステム」の機能のうち既契約の証券分析機能が搭載されていない簡易版システムである。なお2023年5月には、(株)hokanが提供する保険代理店向け顧客・契約管理クラウドサービス「hokan」と「AS-BOX」がAPI連携を開始した。2024年3月には「ASシステム」のオプションとして「法人証券分析機能」の提供を、同年7月には「AS」シリーズのオプションとして既契約の保障内容を短時間で確認できる「AS-plus」の提供を開始した。

収益は、「AS」シリーズ導入ID数に基づいたシステム利用料(初期登録料、サブスクリプション方式の月額利用料)、保険販売コンサルティング売上、金融機関向け「スマートOCR」売上、その他ソリューション売上などである。

金融機関等における各種システムの導入は拡大基調である。2023年以降の導入事例としては、同年1月にゼクシィ保険ショップが「AS-BOX」を導入した。同年4月には第一生命保険(株)へ生命保険証券分析機能のOEM提供を開始した。2024年1月には同社、(株)ドコモ・インシュアランス(2022年7月商号変更)、ジェイアイ傷害火災保険(株)の3社共同開発で「スマートOCR」を活用した「IF-InsurTech®火災保険AIスキャンサービス」が、ドコモ・インシュアランスの「火災保険詳細見積もり」へ導入された。同年2月には「保険IQシステム」「ASシステム」「AS-BOX」がエヌエヌ生命保険(株)とAPI連携を開始した。

銀行における「ASシステム」導入数は2024年4月に大分銀行<8392>が導入して40行に到達し、同社調べによると全国122行(金融経済新聞社「最新の業態別金融機関数(2024年2月29日現在)」において、都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、その他の銀行の合計)の銀行における「ASシステム」のシェアは32.8%となった。保険販売に取り組む銀行が一般化し、窓口業務も多様化しているため、今後も銀行における「ASシステム」導入は高まることが予想される。

2024年2月には、難しい保険を簡単に教えてくれる保険ロボアドバイザー「SMART ロボアド LITE」を、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>傘下の3銀行((株)福岡銀行、(株)熊本銀行、(株)十八親和銀行)へOEM提供した。同年5月には、2022年6月に販売開始した企業内代理店・地方公共団体向けの保険の最適解ツールである保険の「職域ロボアドバイザー」(以下、職域ロボアド)をリニューアルし、全国の職域マーケット(グループ保険を取り扱っている保険代理店)向けに販売を拡大した。

FC部門は、全国の「保険クリニック」FC店に対して「保険IQシステム」を提供している。さらに教育・研修、情報提供、店舗運営ノウハウ、プロモーション等のサポートを行い、直営店と同等のサービスを展開している。収益は、システムやサポート利用に対する初期登録料・基本料金、ロイヤリティ、共同募集に伴う保険手数料、その他サービスに伴う売上等である。2022年4月には、丸紅<8002>の子会社で携帯電話販売代理店(ショップ運営)大手のMXモバイリング(株)が「保険クリニック」コトエ流山おおたかの森店をオープンした。今後も店舗拡大を視野に入れた協業を推進する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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