アジア投資 Research Memo(6):2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進(2)
*14:16JST アジア投資 Research Memo(6):2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進(2)
■日本アジア投資<8518>の今後の方向性
(4) 数値計画と進捗(達成見込み)
FA業務や短期売却を前提としたプロジェクトへの投資を拡大することにより、PE投資に比べて比較的確実性の高いフィー収益やプロジェクトの収益を拡大し、持続可能な収益構造を目指す。中期経営計画期間中は、既存資産の流動化を完了させるため、PE投資の収益が中心となるが、最終年度の2024年3月期にはフィー収益とプロジェクトの収益で管理コストを賄い、変動の大きなPE投資の収益により超過利益(アップサイド)を目指すシナリオであり、営業総利益で22億円、最終利益で8.5億円を目指してきた。
ただ、2022年3月期及び2023年3月期はともに株式売却益の下振れ等により、業績面では計画を下回った。最終年度の2024年3月期の業績についても、当初計画を下回る見込みとなっている。中期経営計画3年間の累計営業総利益の内訳(計画比)見込みを見ると、1) PE投資は売却益の未達と引当金繰入額の超過により計画比50%、2) プロジェクト投資は売却益は計画を上回るものの、黒字化が遅れているプロジェクトにより計画比78%、3) フィー収益等はM&A仲介が案件化できず計画比87%と、それぞれが未達となる見込みであるが、明らかに1) PE投資の下振れによる影響が大きい。
3. 弊社による注目点
株式売却益の未達や引当金繰入額の超過等により、業績面では計画を下回って推移しているものの、VC業界を取り巻く環境変化への対応や課題解決に向けて新たな投資方針を打ち出し、資産の入れ替えを進めながら収益基盤の強化を図る同社の方向性そのものには合理性があると、弊社では評価している。特に、物流施設や障がい者グループホームなど、新たな軸となり得るプロジェクト投資が立ち上がってきたことや、それに紐づく戦略投資の積み上げは、今後の収益拡大に向けた足掛かりとして注目すべきポイントと言えよう。したがって、次の中期経営計画においても大きな方針転換はなく、今後はいかに本格的な軌道に乗せ、収益の安定化に結び付けていくのかが重要なテーマになると考えられる。これまでの資産の伸びや収益の下支えに貢献してきたメガソーラーに代わるプロジェクト投資資産の積み上げに注目したい。また、世界的に注目されているSDGsへの取り組みを、パートナー企業や各金融機関等と連携を図りながら成功させ、同社の成長に取り込んでいく戦略が大きなカギを握るものと捉えており、これまでVC投資で培ってきた着眼点や目利き、インキュベーション力をいかに社会課題の解決につなげていくのかにも期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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