インテリックス Research Memo(5):リノベーション事業分野は増収減益、ソリューション事業分野は増収増益に
*17:05JST インテリックス Research Memo(5):リノベーション事業分野は増収減益、ソリューション事業分野は増収増益に
■業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) リノベーション事業分野
インテリックス<8940>のリノベーション事業分野の売上高は前年同期比22.9%増の19,886百万円、売上総利益は同11.5%減の1,971百万円、営業利益は同72.0%減の136百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売はリノヴェックスマンションの販売件数増加(同11.6%増の652件)と平均販売単価の上昇(同9.5%増の2,856万円)により同22.7%増の18,627百万円となり、賃貸収入は手持ち物件の減少により同33.0%減の52百万円となった。また、その他収入は同30.1%増の1,206百万円となった。リノベーション内装事業が法人からの受注増により同12.1%増の980百万円と順調に増加したほか、中古マンション直販専門サイト「FLIE」を通じた他社物件の取扱手数料等も増収に寄与した。「FLIE」は2023年1月まで首都圏でサービス提供していたが、その後エリアを拡大し現在は北関東・甲信エリアを除くすべてのエリアで2,000件を超える物件を取り扱っている。売上総利益の内訳については、物件販売が同12.1%減の1,820百万円、賃貸収入が同37.6%減の34百万円とそれぞれ減少した一方で、その他収入は同16.9%増の115百万円となった。
リノヴェックスマンションの事業期間は、前年同期の172日から211日と39日増加した。内訳を見ると、販売期間が107日から139日に、施工期間が65日から72日にそれぞれ長期化している。施工期間については、配管なども含めた改修作業が多くなる築古物件の増加や、協力会社における専門職人の不足なども一因となっている。一方、販売期間については積み上がっていた在庫を適正化するため、長期滞留物件の売却を促進したことが要因となっている。このため、売上総利益率は前年同期の13.6%から9.8%に低下したが、第2四半期末の在庫水準としてはほぼ適正水準まで圧縮できたと会社側では見ている。
四半期ベースの動きで見ると、通常物件の在庫件数は2023年5月期第3四半期末に782件まで積み上がっていたが、その後仕入の活動の抑制と物件売却を優先したことで、2024年5月期第2四半期末は452件まで絞り込めており、売上総利益率も第1四半期の8.5%から第2四半期は10.9%と適正水準(12%超)にはまだ回復していないものの、底打ちは確認されている。
リノヴェックスマンションの販売件数を地域別で見ると、首都圏が前年同期比7.9%増の299件、地方エリアが同15.0%増の353件となった。首都圏では千葉、地方エリアでは札幌を除いてすべての地域で増加した。同期間における各地域の中古マンションの成約件数は合計で前年同期比2.5%増の28,617件となっており、リノヴェックスマンションのシェアは2.1%から2.3%と若干上昇した。なお、「エコキューブ」の販売件数は75件と全体の12%を占め、累計販売件数は288件となった。
一方、仕入件数については前年同期比48.8%減の348件、仕入高で同47.7%減の6,400百万円と大きく減少した。前述の通り在庫の適正化を図るため仕入活動を抑制したことが要因だ。地域別でも首都圏が同43.7%減の166件、地方エリアが同52.7%減の182件といずれも2ケタ減となり、すべての地域で減少した。なお、四半期ベースでは第1四半期の143件を底に第2四半期は205件と増加に転じており、第3四半期以降も築浅で好立地物件を中心に積極的な仕入活動を推進する計画となっている。
同期間(2023年6月~2023年11月)における首都圏の中古マンション業界の動向について見ると、成約件数は前年同期比4.5%増の18,092件と堅調に推移している。東京23区内や横浜・川崎エリアなど人気エリアの販売が順調だった一方で、千葉や埼玉では若干減となるなどエリアによって需要動向に差か出る傾向が続いている。また、在庫件数については2023年11月時点で同14.2%増の46,993件と高水準が続いており、業界全体の在庫過剰感は解消されていない状況にある。直近の在庫件数のピークは2019年1月の48,796件で、その後は新築マンションの供給戸数減少に伴い減少に転じ、2021年6月の33,641件を底にして再び増加傾向となっている。同社は業界のなかでも先行して在庫の適正化を実現しており、在庫調整中の他社と比べて仕入活動を優位に進められると弊社では見ている。
(2) ソリューション事業分野
ソリューション事業分野の売上高は前年同期比59.7%増の2,783百万円、売上総利益は同95.3%増の840百万円、営業利益は同270.7%増の545百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売が同48.0%増の1,549百万円、賃貸収入が同5.3%増の525百万円、ホテル事業を中心としたその他収入が同259.4%増の708百万円となった。
物件販売については、1棟もの収益物件の売却が進んだことで増収となり、売上総利益も同139.3%増の338百万円となった。その他収入のうち、ホテル事業については約3倍増の490百万円となった。インバウンド需要の回復とともに「LANDABOUT(ランダバウト)」(東京都台東区)や「モンタン博多」(福岡県福岡市)の稼働率が約9割まで上昇したことに加え、宿泊料も上昇したことが大幅増収につながった。売上総利益も増収効果で同658.5%増の245百万円と大幅増益となった。なお、ホテル施設については当面の間、自社保有を続ける方針のようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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