兵機海運 Research Memo(8):財務健全性を意識しながら利益を積み上げ自己資本比率が上昇
*15:28JST 兵機海運 Research Memo(8):財務健全性を意識しながら利益を積み上げ自己資本比率が上昇
■兵機海運<9362>の業績動向
3. 財務状況と経営指標
(1) 財務状況
2024年3月期末の資産合計は12,939百万円となり、前期末比420百万円増加した。流動資産は3,978百万円となり、同125百万円増加した。これは主に、現金及び預金の増加258百万円、その他に含まれる立替金の増加219百万円等に対して、売掛金の減少371百万円等によるものである。立替金の増加及び売掛金の減少に関しては、2023年10月以降、一部取り引きについて従来売上高として請求していたものを立替金として請求することとしたことによるものである。固定資産は8,960百万円となり、同294百万円増加した。これは主に、時価の上昇等による投資有価証券の増加623百万円、貸倒引当金の減少80百万円等に対して、減価償却による固定資産の減少369百万円、長期貸付金の減少67百万円等によるものである。
負債合計は8,329百万円となり、前期末比402百万円減少した。流動負債は4,168百万円となり、同424百万円減少した。これは主に、短期借入金の減少352百万円、未払法人税等の減少129百万円等に対して、買掛金の増加52百万円等によるものである。固定負債は4,161百万円となり、同21百万円増加した。これは主に、繰延税金負債の増加228百万円等に対して、長期借入金の減少207百万円等によるものである。
純資産合計は4,609百万円となり、前期末比822百万円増加した。これは主に、当期純利益の計上512百万円、その他有価証券評価差額金の増加432百万円等に対して、配当金による減少136百万円等によるものである。
(2) 経営指標
同社では経営指標として、自己資本比率、売上高経常利益率、ネットD/Eレシオを重視している。同社は、船舶・倉庫等の大型設備を必要とする事業特性から、自己資本比率は高くない。こうしたなか、財務体質の強化を図るために、自己資本比率30%、ネットD/Eレシオ1.0倍以下を目標水準としている。加えて、経営のさらなる効率化を図り、売上高経常利益率5%の達成も目指す構えだ。
2024年3月期末の自己資本比率は前期末比5.4ポイント上昇し35.6%となった。自己資本比率は2021年3月期から上昇傾向を辿り、前期に続き2024年3月期は目標とする30%超を達成した。売上高経常利益率は前期比1.31ポイント上昇し4.64%となった。子会社の清算に伴い営業外収益を計上したことにより収益性が改善した。ネットD/Eレシオは0.84倍となり、目標とする1.0倍を達成した。当期純利益をしっかりと計上しながら、同時に有利子負債の返済を行ったことが寄与した。今後も引き続き、経営の効率化や業務改善に取り組みながら、財務の健全性を高めていく方針である。
(3) キャッシュ・フロー計算書
2024年3月期の各種キャッシュ・フローの概要は以下のとおりである。
a) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は908百万円となった。主な内訳は、税引前当期純利益709百万円、減価償却費369百万円等に対して、法人税等の支払額300百万円、貸倒引当金の減少額86百万円等によるものである。
b) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、獲得した資金は74百万円となった。主な内訳は、長期貸付金の回収による収入77百万円、子会社の清算による収入30百万円等に対して、長期貸付けによる支出12百万円、有形固定資産の取得による支出11百万円等によるものである。
c) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、使用した資金は737百万円となった。主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,259百万円、短期借入金の純減少額400百万円、配当金の支払額135百万円等に対して、長期借入れによる収入1,100百万円等によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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