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サイバーリン Research Memo(5):2025年12月期中間期は増加基調継続、経常利益は前年同期比73.6%増

2025年10月06日 11:05 銘柄/投資戦略

*11:05JST サイバーリン Research Memo(5):2025年12月期中間期は増加基調継続、経常利益は前年同期比73.6%増 ■サイバーリンクス<3683>の業績動向

1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高8,849百万円(前年同期比11.5%増)、定常収入4,250百万円(同7.6%増)、営業利益990百万円(同74.6%増)、経常利益990百万円(同73.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益673百万円(同101.9%増)となり、売上高、定常収入、経常利益は中間期として過去最高となった。減価償却費(のれん償却含む)は572百万円(前年同期比108百万円増)と増加したが、これを吸収して大幅営業増益となった。この結果、償却前営業利益は1,562百万円(前年同期比51.5%増)となった。

経常利益(前年同期比4.1億円増)の増減要因を分析すると、流通クラウド事業は0.1億円の減益となったが、内訳は売上増による増益が1.9億円、原価増(主に開発体制強化による人員増や仕入増など)による減益1.0億円、「@rmsV6」などの開発に伴うソフトウェア償却費増による減益0.7億円、販管費の増加による減益0.3億円であった。官公庁クラウド事業は4.6億円の増益となったが、主な案件(自治体基幹システム標準化案件、文書管理システム、防災行政無線案件等)が進行し定常収入増による収益性の改善による。トラスト事業では、「CloudCerts」の提供が拡大したことから微増収となったが、営業体制強化などで費用が増加し0.1億円の減益となった。モバイルネットワーク事業は、端末販売は減収となったがインセンティブ収入の増加により0.7億円の増益となった。また全社ベースでは、諸費用の増加や社内基幹システム刷新等により0.9億円の減益となった。

2. 流通クラウド事業
セグメント売上高は前年同期比8.5%増の2,503百万円、定常収入は同7.5%増の2,102百万円・セグメント利益は同4.0%減の328百万円となった。

定常収入を順調に積み上げたこと、中大規模スーパー向け「@rmsV6」が新規顧客で稼働したこと、2024年10月から実施した料金改定などにより増収となったが、仕入増や待遇改善による人件費増や償却負担増によりセグメント利益は微減となった。

セグメント利益の増減を分析すると、増収により1.9億円の増益となったが、原価増(仕入増や待遇改善による人件費増など)で1.0億円の減益、中大規模スーパー向け「@rmsV6」の開発に伴う償却負担増で0.7億円の減益、販管費の増加(主に人件費)により0.3億円の減益であった。

「@rmsV6」については、既存顧客1社が2025年3月にバージョンV3から切替を行い、4月に新規顧客1社が新たに稼働を開始した。現在受注済みの顧客に関しても、導入作業等の調整を行い順次稼働を開始する予定だ。

「クラウドEDI-Platform」では、他社サービスと併用していた既存の大手顧客において同社サービスへの完全移行が完了した。また生鮮EDI「せんどねっとV2」でも大手ドラッグストアから新規受注を獲得しており、同社の実績が豊富であることから、引き合いも増加している。

また同社が重視するARR(Annual Recurring Revenue=各四半期末月の単月定常収入×12ヵ月)は、2025年12月中間期末で42.2億円となっており、2024年12月期中間期末の39.5億円、2023年12月期中間期末の37.8億円から着実に増加している。

3. 官公庁クラウド事業
セグメント売上高は前年同期比19.3%増の4,148百万円、定常収入は同5.1%増の1,755百万円と順調に増加した。定常収入の増加に加え、主要な案件が順調に進捗したことから収益性が大幅に改善し、セグメント利益は同196.8%増の697百万円となった。

「自治体基幹業務システムの統一・標準化」関連案件、文書管理システム、防災行政無線工事案件等が順調に進捗した。主要案件としては、文書管理システム「ActiveCity」が和歌山市等で稼働(2025年4月)を開始した一方で、大田区・船橋市等で大型案件を受注した。自治体向けオンライン窓口「みんなの窓口」が2025年3月に奈良市で稼働を開始した。

4. トラスト事業
セグメント売上高は前年同期比9.6%増の51百万円、定常収入は同30.7%増の39百万円、セグメント損失は53百万円(前年同期は41百万円の損失)となった。

デジタル証明書発行サービス「CloudCerts」は、「TOEIC(R) Program」、「デジタル薬剤師資格証」、「近畿大学外国語課外講座の修了証」など採用実績は着実に増加しているものの、横展開が広がらず当初計画よりは遅れている。そのため、営業体制の強化に伴う費用増などの影響によりセグメント損失を計上した。トピックスとしては、「Japan DX Week」(2025年4月)に出展し、過去最高のリード顧客数を記録した。

5. モバイルネットワーク事業
セグメント売上高は前年同期比2.1%増の2,145百万円、定常収入は同20.5%増の352百万円、セグメント利益は同46.4%増の236百万円となった。店頭での端末販売高は前年同期比で減少したが、キャリアが設定する各指標の目標達成に注力した結果、インセンティブ収入が増加し、セグメント利益は前年同期比で大幅増となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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